バイデン政権は、トランプ政権が一方的に破棄したイラン核合意(JCPOA)を復活させ、改訂核合意を作る方向を目指している。そのために、イランに対して柔軟な譲歩を示している。
トランプ政権は、2020年9月に国連安全理事会に対して「スナップバック条項」(対イラン制裁の全面復活)の発動を通知していたが、バイデン政権は昨年2月にこれを撤回している。昨年6月には、イランの役人と企業への制裁も一部解除している。
2月4日にはブリンケン国務長官が、20年にトランプ政権が廃止したイランの民生用の核活動に対する制裁免除を復活させた。イランの民生用の核プロジェクトに関与している外国企業は、経済制裁から免除されることになる。
ウォールストリート・ジャーナル紙の2月6日付け社説‘Rushing to a Weaker Iran Deal’は、イラン核合意の復活交渉でバイデン政権は譲歩しすぎていると非難しているが、これはイラン核問題の処理の難しさをよく理解しない暴論といって良い。他方、ワシントン・ポスト紙は2月5日付で、‘The only thing worse than a deal with Iran might be no deal’(イランとの合意より悪い唯一のことは何も合意しないことだ)と題する社説を掲載、15年のオリジナルの核合意が復活することはないだろうが、バイデン政権はイランとの交渉を続ける他ないと説いている。ワシントン・ポストの主張が常識的で適切である。
JCPOAの復活に関するイランと米国との交渉が、米国の柔軟な対応もあり、大詰めを迎えていることは歓迎される。