2022年12月2日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年5月19日

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 多くの国が新型コロナとの共生の道を選ぶ中、中国は好戦的なゼロコロナ政策を続けているが、これでは新型コロナに勝つことは覚束ない、と4月30日付の英エコノミスト誌が論じている。

Nuthawut Somsuk( / YULIYA SHAVYRA / iStock / Getty Images Plus

 コロナ対策をめぐり習近平政権は確かに難局に立たされている。コロナが中国だけに止まっておれば、ゼロコロナ政策は完璧な成功であった。だが、世界規模での蔓延の持続と変異種の登場は、中国のコロナ政策、ひいては習近平政権の統治そのものに重大な挑戦を突きつけている。

 ゼロコロナ政策は、間違いなく修正を迫られている。感染力の増大と重症者の減少という特徴を持つオミクロン株の登場は、これまでのやり方のコストを著しく高めているからだ。後述するように国民との関係や経済への影響も深刻化してきている。だが、中国の医療体制は脆弱であり、緩めれば簡単に医療崩壊が起こり得る。

 最も進んでいる上海においてさえ医療危機が起こったことを見れば、全中国に急速に広がってしまえば、もっと厳しい結果になる。さらに最も脆弱な高齢者対応が遅れていることもあり、感染者が増えれば死者も増える。死者が少ないことを「売り」としてきたゼロコロナ政策の破綻となる。徐々に修正していくしかない。

 政策変更の制約は国内政治からも来る。習近平は、2020年の武漢危機を乗り切り「大成功」させた時点で、ゼロコロナ政策を中国式ガバナンスの勝利、習近平の指導力の成果と位置づけた。今年(22年)の党大会を自己に有利に乗り切るという内政上の考慮からだ。

 その政策の修正は習近平の権威を損なう。党内非主流派は、これを利用しようとするだろう。簡単に政策を修正できないのだ。国民の反応も厳しい。上海市民の不満も伝えられている。だが、だからといってすぐにどうなるというものでもない。

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