それでも共産党統治機構の弱点は露呈された。管理は得意だが、国民の不満には適切に対応することは苦手なのだ。当面、直接の責任者のクビをすげ替えることで乗り切ろうとしている。だが、この官僚主義、柔軟性の欠如等は共産党の統治システム自体のかかえる問題だ。習近平が必死になってやってきた党のガバナンス改革は、国民との関係を考えれば、システム自体を変えないと難しいことを上海のケースは改めて示している。
注目はゼロコロナ「後」の政策
経済への影響は特に心配だ。多くの専門家は、今年度の経済成長目標(5.5%程度)の達成は難しいと見ている。それでも最近、党指導部はこの目標の貫徹を強く求めた。経済の下振れ懸念がそれほど大きいからであり、コロナが大きな要因の1つだ。中国でも、感染対策と経済との共生は喫緊の課題なのだ。
中国のゼロコロナ政策は、このような状況の中にある。当面は、微調整を加えながら、これを続けるということだろう。だが世界のコロナが続けば、中国だけ鎖国を続けるわけにはいかない。いずれ次のコロナ政策を出してくる。その内容により、習近平の党内掌握度あるいは党大会への流れを推測できる。
なお、ウクライナ問題も同様の内政的位置づけとなってきており深刻だ。中国の国内の動きからますます目が離せなくなってきた。