21世紀の安全保障論

2022年5月13日

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中林啓修 (なかばやし・ひろのぶ)

国士舘大学防災・救急救助総合研究所准教授

国士舘大学防災・救急救助総合研究所准教授
2000年立命館大学文学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。沖縄県知事公室地域安全政策課主任研究員、ひょうご震災記念21世紀研究機構 人と防災未来センター主任研究員などを経て、20年4月から現職。

国民を守れなければ、戦略的には敗北となる

 専守防衛を掲げる日本が不幸にして武力紛争の当事国になるとすれば、国土とその上にある社会の防衛こそが唯一許される戦争目的である。それゆえ、社会を構成している国民が十分な国民保護措置が行われなかったがために命を失うようなことがあれば、仮に軍事的に日本が勝利したとしても、戦略的には敗北を意味する。

 本稿冒頭では、平和を希求する想いの強い沖縄県が日本復帰50年の節目を日本の中でも特に厳しい安全保障環境のもとで迎えている理不尽を指摘した。究極的には外交努力等を通じて平和裡に安全保障環境が改善されることが望ましいが、そうした努力と並行して、最悪の状況が発生した場合でも少しでも確実に住民らの安全が図れるよう国民保護に関する議論を深めていくこともまた、この理不尽を和らげるための大切な取り組みといえる。

 国民保護が国の責任において実行されるべきものである以上、地域的に危機に直面している沖縄の人々だけに議論を押し付けてはいけない。これは本土に居住する私たちを含めた国民全員の問題なのである。

 
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