2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年3月29日

 これに対し、中国国防部は直ちにこれに反論し、「中国自身ハッカー攻撃の被害者である。中国の法律はハッカー攻撃を禁じており、中国軍はいかなるハッカー活動も支持しない」との趣旨の声明を発出しました。現在のところ、米紙の主張と中国政府の主張は水掛け論に終わっています。

 このような状況を踏まえ、米国務省のヌーランド報道官は、質問に答え、「米国としては、最高レベルで米側の懸念を中国側に伝えてきたし、今後も伝える考えである」と述べつつも、サイバー攻撃の詳細については、「インテリジェンス」の領域に入るとして説明を避けています。

 上海にあるとされる「61398」部隊の詳細については、マンディアント社の報告は、2006年から今日までに20業種、少なくとも141企業のデータが盗まれた、と指摘していますが、「61398」部隊が軍のどのレベルの指示を受けて活動しているのか、判然としません。

 日本にとっては、これまでに中国からいかなるサイバー攻撃が行われていたかについては、断片的なことしか公表されておらず、全貌はつかみがたいのですが、米国主要紙の記事内容は、決して他人事ではないということを示しています。法的措置を含め具体的対応策を取ることが、喫緊の課題でしょう。

 また、日米間でのサイバー・セキュリティー面での協力や監視衛星など宇宙空間での協力については、話し合いは始まりましたが、いまだ具体的な進展はないと報じられています。ますます戦略的重要性を増しているサイバー空間や宇宙空間をめぐる両国間の協力は、これからの日米同盟の深化の重要な柱です。迅速に進展させることが不可欠です。

[特集]サイバー戦争

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