2024年6月14日(金)

お花畑の農業論にモノ申す

2022年6月4日

ドローンによる低コスト栽培への期待と課題

 コメの低コスト栽培で近年、注目されているのがドローンを使ったものだ。コメの栽培においては、苗を作りその苗を田んぼへ移植する「田植え作業」を行うために多くの時間と費用がかかる。ドローンを使い田んぼへ直接種を播く「直播(じかまき)栽培」ができれば、苗つくりと田植えの作業を省略できる。

 実際に、若いコメ作り就業者が少ない地域では、直播栽培が「低コスト栽培技術」の切り札とされている。それでも、直播栽培が普及しない最大の理由は、収量が不安定なところにある。

 コメ作りでは、種や苗を植える数日前に水田へ水を入れ、土を良くこねながら平らにならす「代(しろ)かき」作業を行う。代かきをした水田に種を空から播くと、その後の管理にもよるが、収量に影響をおよぼす大きな問題も起こる。

 その一つは、苗が水田の隅に集まってしまう懸念だ。発芽したイネを水中に播くと、すぐに成長が始まる。葉が1~2枚になったタイミングで強い風に吹かれると、水田に波が立ち、育ったイネが畔まで寄せられてしまう。風の強さや水田の水の深さにもよるが、苗が播いた場所から動いてしまうことで収量が大きく減ることが心配される。 

 二つ目は、初期の除草剤散布のタイミングを逃すリスクが発生している。近年開発され一般的に使われているイネの除草剤は害のない物が多いが、使用上の注意として「イネの根が露出している場合は、薬害発生のおそれがある。根が露出していない状態での使用を推奨する」と書かれている。

 代かきした滑らかで平らな水田に種を空から播くと、まかれた種は地上に見える。この種子から根と芽が伸びるのだが、根が土の中に入るまでには、何日もかかってしまう。その間に雑草の芽が動き出して伸びてしまい、稲より早く育ってしまうことが懸念される。

 三つ目は、鳥害を受ける場合があることだ。これまでの栽培試験で、イネが少なくなっているのがはっきり見えるほど、スズメやカモの食害・被害を受けたことがあった。イネが20センチ前後に育ったころに、水田に飛んできたカモの群れに荒らされたこともあり、鳥害防止に神経を使うことになる。

 こうした問題の有効な対策として、空から播いた種子に早く土をかぶせて、土に根を張るよう管理することが考えられる。土の中に根が張れば、除草剤による薬害発生を防ぐことになり、鳥に見つからないようにもなる。実現に向けた試行錯誤が進められている。


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