日本の制度設計と運用の課題を露呈
感染症予防対策としては、ほとんど意味のないことにコストが注ぎ込まれ、DXの実践例としても決して成功とは言えない状況を、どう考えたらいいのだろうか。当初は、「意図的に面倒な手続きを設定して、在外邦人の一時帰国を抑制しよう」という「裏の意図」があるのではと思ったこともある。だが、よく考えれば総量規制というのは「1日の入国数」として管理されているので、抑制のためにやっているのではないだろう。
では、「日本という島国の特質」を生かした「水際対策」に強い支持を与えている世論へのアピールとして行なっているのかというと、そうでもないようだ。このような膨大な労力とコストをかけた水際対策の全貌は、アピールするどころか正確には伝えられていないからだ。
問題は、もっと具体的なことなのだろう。制度設計の側に運用の現場への理解がない、平時の制度を杓子定規に有事にも適用している、意思決定者にDXに関する原理原則の理解がない、運用を柔軟にするのはいいが柔軟にする際の方法論を知らない、といった官僚組織の弊害があるに違いない。
これに加えて、恐らくは民間企業の協力に依存している現場には、絶対に判断を委ねないこととし、そのために運用が硬直化するということも重なっているのだろう。いずれにしても、この「水際対策」については、一段落したところで徹底した検証が必要と思われる。
「Wedge」2022年5月号で「日本第一主義の「コロナ鎖国」 これでは世界から見放される」を特集しております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う日本の水際対策は、その厳格さから「コロナ鎖国」とも指摘され、世界から批判を浴びた。長期にわたり人々の往来を止めたことによる国際交流やビジネス、観光、外交面での損失は甚大だ。一刻も早く「鎖国」状態を改め、日本のプレゼンス向上やファン・仲間づくりの再開に踏み出すべきだ。
詳しくは、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
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