2024年2月25日(日)

インドから見た世界のリアル

2022年6月25日

 こうした背景もあって、中国は2000年以降、「西部大開発」の名のもと、チベットでも開発を進めた。開発を安全に行うために、中国軍は、インド側への侵入を繰り返し、インドを、少しでも遠くに追いやろうとしている。そういう構図になっている。

インドを攻撃する可能性はあるのか?

 中国が軍事力の展開を続けているということは、インドを攻撃する可能性があるのだろうか。どのような攻撃になるか正確に特定するのは難しいが、攻撃する可能性そのものは否定できない状態になっている。

 米国の太平洋陸軍司令官の指摘は、そのことを指しているのである。だから、中国が攻撃を開始する可能性のある時期は、警戒する必要がある。

 印中国境地域は、冬に軍事作戦を実施するのは比較的難しいものとみられているが、春から秋にかけては軍事作戦が可能である。また、1962年に中国がインドを攻撃した時は、米ソがキューバ危機への対応に追われていた時で、インド支援が遅れる結果になった。

 だから、もし、米国をはじめとする各国が、ロシアのウクライナへの侵略など、別の危機への対応に追われていて、中国がインドへの攻撃を仕掛けても対応できない状態であれば、それは危険な時期と考えられる。

 例えば、インドが武器の援助を求めてきても、すでにウクライナに武器を引き渡してしまった各国は、在庫がないかもしれない。中国に対して経済制裁をかけるとしても、ロシアに対して経済制裁をかけて副作用のようなものがでている中で、さらに中国に制裁をかけることができるのか、疑問だ。

 中国がインドを攻撃した場合、まずは、インド政府が独自に対応すべき事案であり、実際にそうするだろう。ただ、日本としても、そういった事態が起きた時には、どうするべきか、どのようなシナリオがあり得るのか、頭の整理をして、準備しておくべき、と、思われる。

 
長尾賢氏による論稿「中国と本気で戦うインド 日本はどれだけ理解しているか」はWedge Online Premiumにてご購入することができます。

   
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る