2024年4月20日(土)

WEDGE REPORT

2022年7月13日

 香港は依然として政府指定ホテルでの1週間の隔離が義務付けているが、「こちらで隔離ホテルを用意しているが、変更することは可能。ある方は1泊4000香港ドル(約7万円)のホテルに変更した」。1週間滞在すれば2万8000香港ドル(48万5000円)となり、ツアー代よりも高い計算になる。

 「参加者の一人は40回以上、訪日した人ですが、みなさん日本通の方々」。現時点では合計の渡航費用がかなりかかることを考えると、この日本通の観光客はそれなりの裕福層でもあると考えるほうが自然だろう。これは、日本としては客単価も高くなるので、ありがたい存在だ。

香港の書店は日本のガイドブックが平積みされている

 進む円安については「うれしいですが、隔離があるので、その辺をどう捉えるか。ただ、今、銀行にいって日本円に両替している香港人は多い」。実は両替商や銀行にいっても保有していた円が底をついて両替でできないケースが発生している。

 同社は今後、仙台の七夕祭りや青森のねぶた祭を組み込んだ東北ツアーや徳島、高松、岡山、大阪、和歌山と淡路島の外側の四国・関西をぐるりと回る8日間のツアーなども企画している。

つながり深まる香港からいかに受け入れていくか

 今は隔離があるため日本が本当に好きな人しか行かないが、自由化すればさらなる香港人のほか、世界から観光客が訪れることは間違いない。ただ、ツアーを開催したEGL側は、非常に気を遣ったという。

 袁主席は「日本は青、黄、赤と国ごとに色分けして渡航制限をかけている。香港は幸い青ですが、私たちのツアーでは3回接種した人のみを受け付けている。それは、ツアーの参加者のみならず、受け入れる日本人の方々、旅行関係者の安心につなげるため」と島国だけに敏感な日本人の心情に配慮した。日本人は「受け入れ方」を諸外国から見られていることを意識する必要がありそうだ。

 また梁シニア・マネージャーは「日本に新型コロナについて感染した場合どういう対応をすればいいのかは理解しているが、もう少し英語での情報の提供をして欲しいところ」と、個別のサービス態勢というよりは、コロナ禍での受け入れ態勢に懸念を示した。今後、訪日観光客を増やしていくためには、香港のように2度も感染症を経験しながらも生き抜いてきた人たちの声に耳を傾けることも必要なのかもしれない。

 丸亀製麺などを運営するトリドールホールディングスは、香港で人気の米粉麺を提供する「譚仔三哥米線」を17年12月に、「譚仔雲南米線」を18年1月に買収し、後者を3月に新宿で1号店をオープンさせた。また、今年に入り、日本で香港をテーマとする舞台が2つ上演されるなど、日本と香港の繋がりは国安法の懸念を超えてより密接になっているだけに、今後の動きに注目だ。

   
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