2022年8月18日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年7月22日

»著者プロフィール

 7月2日、アルゼンチンのグスマン経済相が突如辞任し、同国の経済的混迷がさらに深まることが懸念されている。

btgbtg / iStock / Getty Images Plus

 公的債務問題を専門とする経済学者のグスマン経済相は、左派のフェルナンデス政権において、困難な国際通貨基金(IMF)との間で債務再編の交渉を行い、この3月には、440億ドルの債務繰り延べプログラムの合意に達した。

 この合意は、根本的な構造改革に踏み込んでいない甘い条件であるとの批判もあったが、政府内ではエネルギー料金への補助金削減等の措置を含んでいたことから、キルチネル副大統領(元大統領)らの急進派の反発を招いた。議会では、与党内の急進派議員の反対にも関わらず野党の賛成を獲得、IMF合意の承認を得て、緊縮財政路線により国際金融市場にも配慮した政策を進めて来た。

 しかし、与党内急進派の反発は収まらず、ウクライナ危機後の急速なインフレもあり、外貨準備は伸びず国債価格も低下し、5月以降、グスマンのインフレ対策、通貨市場や外貨準備管理に対するキルチネル派の不満はさらに高まっていた。突然の辞任の背景には、キルチネルの影響下にあるエネルギー省の官僚がエネルギー分野でのインフレ対策措置に応じなかったためとも伝えられるが、同時に財務担当次官、税務担当次官等も辞任しており、与党連合内の内部対立の深刻さを窺わせる。

 後任に、内務次官のシルビナ・バタキスが任命されたが、キルチネル派に近いとも言われており、元ブエノスアイレス州経済相を務めた際には、物価統制等の市場介入や富裕層への増税を行った経験もあり、市場の懸念はさらに深まったと云える。

関連記事

新着記事

»もっと見る