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都市vs地方 

2022年7月28日

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吉田浩 (よしだ・ひろし)

東北大学大学院 経済学研究科教授

高齢経済社会研究センター長。1995年一橋大学大学院博士課程満期退学、97年東北大学大学院経済学研究科助教授、2007年より現職。会計検査院第9代特別研究官、経済企画庁経済審議会特別委員も歴任した。著書に『男女共同参画による日本社会の経済・経営・地域活性化戦略』(河北新報出版センター)、『厚生労働統計で知る東日本大震災の実状』(統計研究会)など。

投票率と1票の重みの矛盾

 投票率が100%でないことによって、選挙区間の1票の重みの格差に差異が生じることは、別の問題をもたらす。

 参政権の実現という見地から見れば、一般的に投票率が高いことはそれだけ有権者の意思が選挙に反映されているといえるので、望ましいことといえる。しかし表3で見たとおり、定数が一定であれば、事後的には投票者数が多ければ多いほど、重み=定数/投票者数であるために、逆にその選挙区の1票の重みが減ってしまうという矛盾に直面してしまうのである。

 このように、地域間の1票の重みの格差を拡大しないということと、投票率をなるべく高くしたいという目標を同時に達成することは容易でない。そこで、机上の空論ではあるが、次回の選挙の定数配分を今回の投票者数の実績に合わせて調整するというシステム(定数=公平な係数×投票者数)にしてみるのはどうだろう。このようにすれば、公平な定数配分と各選挙区において投票者数が多い地域ほど多くの代表を国政の場に送ることができるというインセンティブによる投票率の向上を両立させることができるかもしれない。

 しかし、このアイディアは、地元の要望を国政につなぐ代表が増えるという面で望ましいかもしれないが、問題もある。なぜならここ数年間の議員定数削減への改革の流れからすれば、国会議員の数が多いことが、必ずしも有権者のメリットとは限らないからである。

 それよりも別の意味で興味深いことは、表3や表4の1票の重みの逆数は1議席当選するためには「各選挙区で実質何人の支持を得るべく選挙運動をしたらいいのか」を表す指標ともいえることである。この数値は、もしかしたらあなたが次の国政選挙に立候補するときの参考になるかもしれない。

  
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