第26回参議院議員通常選挙は、ロシアによるウクライナ侵略、物価高騰、新型コロナウイルス対策、憲法改正など争点は多岐にわたるにもかかわらず、選挙戦の盛り上がりがいまひとつ感じられないまま、7月10日に投開票された。総務省のまとめによると、今回の選挙区の投票率は、52.05%と、前回3年前より3.25ポイント高くなったものの、過去4番目の低さとなった。
自民党の躍進
選挙結果を見ると、自民党が改選前議席数55を大きく上回る63議席、13議席獲得した公明党と合わせて76議席となり、改選議席125の過半数63議席から13議席上回る大勝利を収めた。
野党では、立憲民主党が改選前23議席から6議席減らして17議席に留まった。一方、野党でありながら与党に近く「ゆ党」とも揶揄された日本維新の会は改選前6議席から12議席に大きく議席数を増やした。さらに比例票でも立憲民主党を上回り自民党に次ぐ第二党となり、大きく躍進するなど立憲民主党の退潮とは対照的であった。
日本維新の会と同様、野党の中でも比較的与党に近い立ち位置にあった国民民主党は改選前より議席数を減らしたこととも対照的である。
さらに、憲法改正に前向きとされる自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の4党が獲得した議席は93議席となり、憲法改正の発議に必要な参議院全体の3分の2の議席を上回ることになった。女性候補の当選者は35人となり過去最多を記録した。
今回の参院選の自民党の大勝利により、岸田文雄政権に少なくとも3年間の政治的安定がもたらされることになるだろう。
既存野党の退潮とミニ政党
自民党の勝利の裏側で、野党は勝敗が分かれた。
旧民主党政権に参加した政党の流れを汲む立憲民主党や国民民主党、社民党は敗北を喫したが、旧民主党政権崩壊以降に全国区となった日本維新の会は議席を倍増させた。