現代社会を象徴する言葉
「権威の喪失」と「多頭化」
では現代社会をどう理解すべきか。
「権威の喪失」と「多頭化」がキーワードとなる。例えばこれまで、私たちの情報源はテレビであれ新聞であれ、限られた少数の媒体の情報から発信されたものを享受し、社会を知る基準としてきた。テレビや新聞に掲載される記事は「真実」であり、識者はそれなりの見識と地位がなければ登場する資格を持たない。つまりテレビや新聞は、権威ある少数の媒体であり、視聴者は受け身に情報を得ていたのである。
ツイッターやユーチューブなどのSNSが引き起こした革命とは、この常識全てを覆したことにある。画面の向こうには夥しい数の発信者がいて、自分の意見を発信している。いつでも、どこでも、誰でも番組プロデューサーになることができ、支持者さえ増えればよい。たった1人で100万人のフォロワーを抱える人物は、数千人を雇用し発行している新聞よりも、発信力と影響力を持つことができるようになったのだ。
問題は、彼らには……
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Wedge 2022年8月号より
歪んだ戦後日本の安保観 改革するなら今しかない
安全保障と言えば、真っ先に「軍事」を思い浮かべる人が多いであろう。だが本来は「国を守る」という考え方で、想定し得るさまざまな脅威にいかに対峙するかを指す。日本人が長年抱いてきた「安全保障観」を、今、見つめ直してみよう。