バイデン大統領は、7月13日から16日の日程で中東を歴訪した。ここでは、特に、サウジアラビア訪問について見てみる。
米国とサウジとの関係は、バイデンが軽率にも大統領選挙期間中に「サウジを『のけ者』にする」と言ったり、カウンターパートはムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)ではなくサルマン国王であると言ったりして、冷え込んでいた。湾岸の米国の最大の同盟国との関係がぎくしゃくしているのは当然望ましいことではない。サウジとの関係改善自体が訪問の一つの大きな目標だったと言っても過言ではない。
今回のバイデンの訪問で、米国とサウジとの関係は、安全保障、経済協力の両面で絆が再確認された。航空産業、防衛、工業全般、観光、インフラ、クリーンエネルギーなど広範な分野で多くの投資協力がなされることが発表された。
バイデンの訪問に合わせて、サウジ当局は、イスラエルを含むすべての航空機に領空を開放することも発表した。これは、サウジとエジプトの間で領有権を争っていたティラン島をイスラエルに引き渡す合意において、引き渡しにはイスラエルの承認が必要だったところ、米国の仲介により7月14日にイスラエルが承認したことへの見返りとされる。
イスラエルとサウジの関係改善を示す象徴的な出来事だったと言える。米国はイランの脅威を念頭にイスラエルとアラブ諸国が関係正常化と協力強化に向かうことを望んでいる。
原油増産については確約を得ることができなかったが、いずれサウジが75万BD、UAEが50万BD、計125万BDを増産することが了解されているとの説もある。