トランプ氏は選挙期間中こそ、米国同時テロ9・11の絡みでサウジを批判していたが、大統領に就任後は急速にサウジとの関係を深めた。その役割を担ったのが大統領の娘婿のジャレッド・クシュナー氏だった。
同氏は皇太子と肝胆相照らす仲になり、サウジの砂漠のテントで一夜を過ごすなど親交を重ねた。トランプ氏は皇太子がカショギ事件で責任を問われた際も皇太子を擁護し、批判を避けた。
トランプ氏が再選に失敗し、ホワイトハウスを去った後もサウジとの関係は続いた。米紙によると、クシュナー氏は自らの新規企業に対し、サウジ側に20億ドルを投資させ、トランプ氏の側近だったムニューシン前財務長官も10億ドルの資金をサウジの政府系ファンドから引き出したという。
トランプ氏も「LIV招待」に賛同
皇太子がトランプ氏周辺とのつながりを切らさないのは24年の次期大統領選で同氏が返り咲くことに期待しているからだろう。「金にあかしたツアー」と揶揄される「LIV招待」が皇太子のイメージアップを狙うスポーツイベントの一環であり、皇太子のツアーへの後押しがあるのは間違いない。
今週末の同ツアーはトランプ氏所有の「トランプ・ナショナル・ゴルフクラブ・ベドミンスター」(米ニュージャージー州)で開催されおり、同氏もプロアマ戦に出場、ツアーへの支持を表明した。「LIV招待」は既存の米ツアーから強く批判されているが、トランプ氏の支持を得たことはツアー継続の大きな力となる。次期大統領選の出馬に意欲を示している同氏を巻き込んだことに、皇太子の意向が反映されているのは確実だ。
10月の「LIV招待」最終戦もフロリダ州のトランプ氏所有のゴルフ場で開催される予定で、2人の関係は今後、新ツアーの拡大とともに深まっていくと見られている。バイデン氏に見切りをつけたとも思われる皇太子の思惑が奏功するのかどうか、大統領選のもう一つの焦点だ。