米国が原子力支援制度を新設すれば、米国と共に世界の原子力発電をリードしてきた日本もSMRなどの輸出に係りビジネスを拡大するチャンスにも思えるが、既に韓国が日本に先んじて動き出している。
輸出産業拡大のチャンスを逃してはいけない
『Wedge』21年11月号にて、米国エネルギー省の元高官、フィリス・ヨシダ氏は「再エネ増でも原発は必要 米国から日本へ4つの提言」(再エネ増でも原発は必要 米国から日本へ4つの提言|【特集】脱炭素って安易に語るな[PART-6])の中で、日本は米国などと協力しリーダシップを取り戻すべきと提言している。
日本政府の新増設は行わないとの方針下では、日本企業は原子力関連への投資に腰が引けていたのだろう。米国のSMR開発で先頭を走るニュースケールには、日本企業も投融資を行っているものの、既に韓国政府が米国政府に食い込み、米韓共同で輸出を進めることが米韓共同声明に織り込まれている(「節電要請」強いる日本 このままでは中国と韓国に負ける) 。
世界の原子力発電設備建設で先頭を走っていた中国、ロシアのリスクに気付いた国は、中国製あるいはロシア製原発導入の検討から、米国製を中心としたSMR導入に方針を変えている。
SMR製造で輸出市場を獲得するチャンスは、まだある。政府が新増設を明言したのは原発関連の日本企業には大きな追い風になる筈だ。ヨシダ氏が指摘したリーダシップを取り戻す時だ。
編集部からのお知らせ:本連載でも鋭く日本のエネルギー政策に切り込んでいる山本隆三氏が著書で、ロシアのウクライナ侵攻に関わるエネルギー問題など、わかりやすく解説しています。詳細はこちら。
『Wedge』2021年11月号で「脱炭素って安易に語るな」を特集しております。
地球温暖化に異常気象……。気候変動対策が必要なことは論を俟たない。だが、「脱炭素」という誰からも異論の出にくい美しい理念に振り回され、実現に向けた課題やリスクから目を背けてはいないか。世界が急速に「脱炭素」に舵を切る今、資源小国・日本が持つべき視点ととるべき道を提言する。
特集はWedge Online Premiumにてご購入することができます。
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