うつ病蔓延時代への処方箋

2013年5月8日

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 このように音楽は精神的にも肉体的にも力になれる。体は交感系、副交感系の神経に支配されています。脳内はセロトニンとドーパミンによって穏やかになったり行動的になったりする。脳細胞は約1000億個あり、情報伝達と情報処理をやっている。そのメリハリは脳内の神経伝達物質が行います。活性化する時はドーパミン、穏やかにするときはセロトニンが、あたかも交感神経と副交感神経のように動いている。脳が活発に動いているときはベータ―波が出て、音楽を聴いて安らかになるとアルファー波が出る。眠くなるとシーター波が出て、熟睡するとデルタ波が出る。また、脳が活発化する状態は持続性がないため、脳が疲れてしまう。一般的には45分から60分と言われています。この間隔で脳を休ませれば、次の集中力を生み出せることにつながるわけです。(表参照)

 うつの人は、脳のメリハリがない状態です。いつもふさぎ込み、落ち込む、集中力がない。そこで能動的な音楽療法と受動的な音楽療法が必要だと思います。能動的には歌を唄うこと。これで脳は活性化します。その後は、受動的に音楽をBGMとして聴くことで脳のメリハリがとれ、改善へと向かう効果が期待できると考えています。できれば職場で歌うことができればいいのですが、難しいでしょう。ならば、BGMとしてモーツァルトの曲などを流すだけでもいい。それだけでも、うつ状態の人を減らせると思います。

BGMで職場のうつ予防を

―― モーツァルトに注目されたのは、どのような経緯があったのですか。

和合:1950年代から欧州では音楽療法の導入が始まっていました。フランスの耳鼻咽喉科医であるアルフレッド・トマティスは1957年に患者への音楽療法の症例を出版しています。そのエビデンスは、実験という形ではなく患者に対して行った結果をまとめたものです。そこにモーツァルトの曲を聞かせた効果が記されています。

 その本には、ある周波数の音は脳・脊髄系のある部位に波及するという因果関係をトマティス理論として書かれてあります。私はそれを読んで、さらに詳しく解明しようとしたわけです。何よりも副交感神経を刺激するスイッチを見つけることができれば、交感神経優位の状態を改善できるからです。

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