2022年9月27日(火)

バイデンのアメリカ

2022年9月19日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

トランプが問われている主な4事件

 トランプ氏については、大統領在任中、退任後含め、連邦、州政府当局による刑事、民事レベルの数十件にも上るさまざまな案件で捜査や調査対象とされ、そのたびごとに、マスコミの関心を集めてきた。

 その中で、主だった事件は、以下の4項目である:

1.【連邦議事堂乱入・占拠事件に関する司法省捜査】

 昨年1月、ガーランド司法長官は事件発生後、ただちに記者会見に臨み、「司法省としてこれ以上に優先して取り組むべき捜査はあり得ない」として、「事件にかかわったあらゆるレベルの人物について、省を挙げて責任を追及していく」と力説した。その後、今日に至るまで、事件との関連で「830人以上」の容疑者を検挙、さらに捜査の網を広げるため、新たに131人の法律専門家を追加投入した。最大関心事であるトランプ氏捜査の進展具合については、今のところ、固く口を閉ざしている

2.【国家機密書類持ち出しに関する司法省捜査】

 今年8月8日、FBIがフロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の邸宅を強制家宅捜索に乗り出し、持ち出しが禁止されている政府関連文書、写真など1万1000点以上を押収した。この中には、秘密文書多数が含まれており、さらに「秘密Secret」「極秘Top Secret」よりさらに機密度の高い「SCI=Sensitive Compartmented Information」と呼ばれる最高度の重要ファイル数十点もあった。

 そのうちの一つは、「核兵器関連書類」に関連したものだった。しかも、FBIが押収書類を精査したところ、「極秘」の表題のついたファイルのうち、中身がなくなっているものも何点かあり、外国の情報機関に渡った可能性も含め慎重に捜査を進めている。

 FBIは、トランプ氏がこれら国家機密文書を持ち出し、所持していたことについて「当該情報の持ち出しで合衆国の利害を損じ、あるいは外国に利益をもたらすことを知りながら意図的に所持し続けた行為」が「スパイ禁止法Espionage Act」にあたる、との見解をとっている

3.【ジョージア州検察局による2020年大統領選不正介入事件捜査】

 ジョージア州検察局は、トランプ氏側近(複数)が同州での選挙開票結果を覆すため妨害・干渉したとして、ルディ・ジュリアーニ個人弁護士らを証人喚問し、徹底捜査に乗り出した。トランプ氏個人についても、開票作業終了後、ホワイトハウス執務室から州務長官を直接電話口に呼び出し、自分の得票数を1万票以上「上積み」するよう圧力をかけたことが明らかにされており、今後の捜査進展具合では、ジュリアーニ氏とともに正式起訴される可能性も残されている

4.【ニューヨーク州およびマンハッタン連邦地検による商取引疑惑捜査】

 ニューヨーク州検察は、トランプ氏が最高経営責任者(CEO)を務める「トランプ・オーガニゼーション」社について、融資を受ける際の不正、法人税の不正申告・脱税疑惑について調査してきた。並行して、ニューヨーク市マンハッタンの連邦地検も、同様の容疑で刑事捜査に乗り出しており、すでに、同社の財務最高責任者だったアレン・ワイゼルバーグ氏を起訴に追い込んでいる。 

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