欧州安全保障問題の権威でもあるカール・ビルト元スウェーデン首相も、ワシントン・ポスト紙への寄稿文の中で、ロシアによる核使用に対する対応について「NATO軍は、黒海およびバルチック艦隊の要衝から北極海天然ガス施設に至るまであらゆるロシアの死活的に重要な資産に対し、通常兵器による大規模攻撃を仕掛けるべきだ。この点では、西側諸国の見解は一致している」とコメントしている。
米国民が持つ核戦争の不安
その折も折、米国では国民の間で最近、ウクライナ戦争に関連して、自国が核戦争に向かっていくのではないかとの不安、恐怖感がとくに高まりつつあると伝えられる。
去る10日、公表された「Reuters/Ipsos」世論調査によると、米国民の大半(66%)が対ウクライナ支援を支持する一方で、「ロシアとの核戦争に向かいつつある」と回答した人が、58%にも達していることがわかった。
また、今春、「全米心理学会」が「Harris Poll」と実施した合同世論調査結果によると、69%の回答者が「第三次世界大戦への懸念」を表明しており、米国政治学者の間でも「核戦争への恐怖がこれほど高まってきたのは、冷戦終結以来、初めてであり、ウクライナ戦争が及ぼす影響が大きい」との見方で一致している。
それだけに、米国の最高司令官である大統領が先頭だって「アルマゲドン」説を唱え、いたずらに国民の〝核アレルギー〟をあおることは、現に慎むべきであろう。