今回のシナリオには、「中国による核の恫喝と使用」も用意した。シナリオ作成を開始した昨年11月頃、筆者は「核兵器の恫喝など非現実的だ」と批判されるのではないかと正直、悩んだ。だが、今年2月24日、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領が米国の介入抑止のため、「エスカレーション抑止」という核による恫喝を実際に行った。世界は今、現実の脅威として核による恫喝に直面している。
シミュレーションとはいえ、公開の場でさまざまな状況を判断し、必要な指示を行うことは、安全保障・軍事に詳しい政治家にとっても極めて勇気のいることであり、真摯な検討に感謝したい。
ゆえに、2日間で浮かび上がった諸問題は、属人的な能力で解決できるものではなく、速やかにそれらの欠陥を是正するための法令や制度改正が不可欠である。厳しい言い方だが、それは、本シミュレーションに参加された政治家に課された〝宿題〟であり、全ての日本国民が向き合うべき〝課題〟だと認識する必要がある。
困難な判断と決断が迫られる
シナリオで表出した課題
2日間にわたる3つのシナリオ演習の結果、日本が備えるべき課題が多数抽出された。以下、主要課題を取り上げる。
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