2022年12月9日(金)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年11月18日

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坂本光司 (さかもと・こうじ)

人を大切にする経営学会 会長

1947年、静岡県生まれ。経営学者。専門は中小企業経営論、地域経済論。千葉商科大学大学院商学研究科中小企業人本経営(EMBA)プログラム長を兼任。静岡文化芸術大学教授や法政大学大学院教授などを歴任し、現職。著書に『日本で一番大切にしたい会社』シリーズ(あさ出版)など多数。
 

 「Wedge」2022年11月号に掲載されている特集「価値を売る経営で安いニッポンから抜け出せ」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
 

 「良いものをより安く売る」

 日本社会で頻繁に取り上げられるこのフレーズを聞くたびに、私は「これは正しい日本語なのか?」と考えてしまう。本来、良い原材料を使い、従業員が手間暇をかけてつくっている良いものは、適正な価格があって然るべきだ。

 しかし、日本では「安さ=正義」とばかりに、そのことがあまりにも軽んじられている。

 収入が限られる中、より安いものを選ぶという消費者心理は分からなくもない。だが、無理な価格設定の背景では、誰かが必ず〝犠牲〟になっていることを忘れてはならない。

 本来、企業経営の目的は、その企業に関わる全ての人々の幸せの追求・実現である。適正な値決めをすれば、従業員に適正な賃金を支払い、福利厚生も充実させることができる。そして、適正価格は、生産者はもとより、販売者・物流業者・顧客などを含めた関係する全ての人々(=関係者)が、企業活動を通じて、幸せや喜びを実感できるものでなくてはいけない。

 価格とは、企業経営の命・根幹であり、良心でもある。したがって、価格決定権は本来、企業側にあるが、日本ではその当たり前のことが困難な情勢になっている。

 私はその要因を探るべく、2016年に全国の約1000社の中小企業を対象にして「貴社の競争力は価格か、非価格か」というアンケート調査を実施したことがある。その結果、自社の競争力が「価格である」と答えた企業の割合は81.1%、「非価格である」と答えた企業は18.9%であった。

非価格競争は一朝一夕には実現できない

非価格経営企業が非価格商品を創造・確保するまでに要した期間
(出所)筆者が2016年に実施した「非価格経営に関する実態調査」より抜粋 写真を拡大

 価格の安さを売りにしている企業が8割を超える結果に私自身、驚いたとともに、この傾向は現在でもほとんど変わらないと考えている。

 価格の安さをセールスポイントとした経営では、……

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Wedge 2022年11月号より
価値を売る経営で 安いニッポンから抜け出せ
価値を売る経営で 安いニッポンから抜け出せ

バブル崩壊以降、日本の物価と賃金は低迷し続けている。この間、企業は“安値競争”を繰り広げ、「良いものを安く売る」努力に傾倒した。しかし、安易な価格競争は誰も幸せにしない。価値あるものには適正な値決めが必要だ。お茶の間にも浸透した“安いニッポン”─。脱却のヒントを“価値を生み出す現場”から探ろう。

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