2024年4月21日(日)

World Energy Watch

2013年5月31日

「付加価値をつけてから輸出を」の声も

 シェールガスはエネルギーとして燃やすばかりではなく化学工業の原料としても利用できる。このためデュポンに次ぐ化学業界2位のダウケミカルは、シェールガスを液化し単純に燃料として輸出することに反対している。原料として利用し、化学品に形を変え付加価値を上げてから輸出すべきとの主張だ。

 その主張を裏付けるように、シェールガス革命により、ガスを原料にエチレンなどの化学製品を製造するプロジェクトが米国では目白押しであり、工場への投資総額は950億ドルにも達するとの見方もでている。

 投資を予定しているのは米国企業だけではない。石炭液化事業で知られる南アフリカ最大の化学会社サソールは化学プラントの基幹になるエタンクラッカー設備への70億ドルの投資を、またエジプトの複合企業オラスコムは化学肥料工場に14億ドルの投資を行う予定だ。今年の3月には、出光興産と三井物産が米国において樹脂や合成潤滑油の原料となるアルファオレフィンの製造を共同で検討すると発表している。

製造業復活を狙うのは欧州も同じ

 ビジネスヨーロッパがエネルギーコストの低下を求めているのは、製造業が競争力を失い欧州外に出て行くことを懸念しているからに他ならない。米国と同じく欧州も製造業の復活を掲げているが、実際にはEU27カ国のGDPに占める製造業の比率は波を描きながら下落を続け、現在16%弱にまで落ちている。これを20年に20%に引き上げるのがEUの目標だ。製造業復活には安いエネルギーが必要だ。米国と欧州27カ国のGDPに占める製造業の比率を図に示した。

 米国も欧州も製造業の復活に力を入れているのは、製造業が作りだす一人当たりの付加価値額が大きく経済成長への寄与度が大きいためだ。これは日本も同じだ。雇用が製造業からサービス業に移ると、生産人口が増えない日本ではGDPは下落する。

 5月22日のEUサミットでは、ビジネスヨーロッパの要望に対する明確かつ具体的な回答は出なかった。シェールガス開発については、英国、ポーランド、ルーマニアは推進する姿勢だが、EUとしては、輸入エネルギー依存度を下げるために国内資源の開発を進めるとだけ述べている。バローゾ欧州委員会委員長は、次の5分野で対策を進めるとしている。


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