2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年1月12日

 7月の(太平洋島嶼国と豪・ニュージーランドの)太平洋諸国フォーラム(PIF)には、2012年のクリントン国務長官以来久々の高官としてハリス副大統領がオンラインで参加し、キリバス、トンガ、ソロモン諸島への大使館開設を表明(ただ、ソロモン諸島の米国大使館は2003年に閉鎖されたものの再開で、これまでの米国の姿勢を象徴している)。

 さらに9月28日~29日に初の米・太平洋島嶼国サミットをワシントンで行い「太平洋パートナーシップ戦略」を発表した。今まで未承認だったクック諸島とニウエの国家承認を発表し、8億ドルを超える援助を表明したのは正しい第一歩だ。会議後の共同声明に紆余曲折の後ソロモン諸島も署名したのも、一つの成果だろう。

 一方、中国はそのずっと先を行っている。中国が太平洋島嶼国と「経済発展協力フォーラム」を始めたのは2006年に遡る。2013年の第2回会合では20億ドルの譲許的融資を約束。その後2019年にはキリバスとソロモン諸島が台湾と断交し、南太平洋島嶼国の台湾承認国はパラオ、マーシャル諸島、ナウル、ツバルの4カ国になった。

 もちろん中国の援助にはマイナスもある。2018年のパプア・ニューギニアでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)会合の際に、同国外務大臣事務所に中国外交官が乗り込み共同声明案修正を直談判したという高飛車な対応も記憶に新しい。これでは真の友好関係は長続きしないのであり、こちらから付け入る余地は十分ある。

鍵となるフランスとの連携

 そのためには、同じ目線で相手の共感を得ることに加え、「こちら側」の陣容の拡充も必要ではないか。それはフランスとの一層の連携だ。仏領ポリネシアは南太平洋におけるフランスの拠点だ。

 元々PIFとその前身はフランスの核実験などに反対して結成されたという歴史的経緯はあるが、今や仏領ポリネシアは準メンバーであるし、フランスもパートナー国になっている。我々にはあまり余裕はないはずだ。先の米・島嶼国サミットにもオブザーバーで豪・ニュージーランドは参加する一方、フランスが参加していない点が気になる。

 しかし、島嶼国との関係についても昔から努力しているのは日本だ。日本が太平洋・島サミット(PALM)を始めたのは1997年で、中国より10年近く早い。同じ目線で「共感」を得るアプローチは日本のお家芸だ。上記の論説で取り上げられている不発弾処理についても、既に日本は、ソロモン国家警察爆発物処理部隊に対する支援を開始している。今後これを日米豪(または日米豪仏)のプロジェクトとして進めると言うことも一案だろう。ちなみにPALMには仏領ポリネシアも入っている。

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