2023年1月30日(月)

お花畑の農業論にモノ申す

2023年1月13日

»著者プロフィール
著者
閉じる

熊野孝文 (くまの・たかふみ)

元米穀新聞記者

1954年生まれ。東京経済大学中退後、コメの相場情報として米穀市況を速報する仕事に8年従事し、米穀新聞の記者として農家と卸売業者、小売店と、それぞれが取引する現場を40年取材してきた。近書に『ブランド米開発競争―美味いコメ作りの舞台裏』(中央公論新社)。

日本のコメ農家も救う

 「原料米の確保」において、国内での供給体制については年間1億食を目標に置いており、すでにプリズム計画推進参加社以外からも製造に関する問い合わせが来ているという。

 付け加えておかなければならないのがメディカルライス協会は腎臓病向け低たんぱく加工玄米だけではなく、玄米の機能性をより多くの人に供与するためにメタボリック症候群に効果のある玄米食など、玄米が持つ機能性を発揮する食品研究を進めていることだ。まさに玄米食普及が新たな段階に入ったことを意義づける取り組みだといえる。

 この取り組みはコメの生産者を勇気づける取り組みでもある。渡邊理事長は日本の稲作農業が衰退しつつあることを懸念しており、同協会が定めた玄米成分の基準値をクリアした玄米は1キロ800円、1俵4万8000円で購入していくことを明言している。この価格であれば棚田でコメ作りをしている生産者であっても再生産が可能になる。

 玄米で健康社会を作るだけでなく持続可能な農業にも貢献できる事業が始まったことになる。消費者も病気になる前に健康維持を図る「治未病」への貢献や農家の存続を考え、価格が多少高くてもフェアな価格帯を受け入れてもらいたい。

 
 『Wedge』2023年1月号では、「農業にもっと多様性を! 価値を生み出す先駆者たち」を特集しております。全国の書店や駅売店、アマゾンでお買い求めいただけます。
 便利で安価な暮らしを求め続ける日本――。これは農業も例外ではない。大量生産・大量消費モデルに支えられ、食べ物はまるで工業製品と化した。このままでは食の均質化はますます進み、価値あるものを生み出す人を〝食べ支える〟ことは困難になる。しかし、農業が持つ新しい価値を生み出そうと奮闘する人は、企業は、確かに存在する。日本の農業をさらに発展させるためには、農業の「多様性」が必要だ。

  
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る