「早くも統制失った」ネタニヤフ
「改革案が議会で通れば、司法の独立が侵され、民主主義の基本である三権分立が崩壊してしまう」(反対派)という懸念は的を射ているように映るが、
首相にしてみれば、裁判所が力を持つ現状を放置すれば、最終的には投獄されかねず、どんなに司法と対立し、いかに指弾されようと、なんとしても司法制度を自分の裁判に有利なように変えたいというのが本音だろう。
しかし本当の問題はこうした首相の弱い立場につけ入って、極右政党や宗教政党がそれぞれ自分たちの主張をゴリ押ししようと勝手に行動しかねない恐れがあることだろう。
ネタニヤフ首相は極右政党を連立政権内に取り込んだことが懸念されているのに対し、「政権内を完全に掌握している」と自信を示していた。だが、実際にはパレスチナ問題などで極右指導者らにかき回され、「政権発足1カ月もたたないのに早くも統制を失った」(アナリスト)という見方が強い。今回の内相解任で、イスラエルの政治的混迷が一段と深まるのは確実だ。