2022年11月28日(月)

教養としての中東情勢

2022年11月6日

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 11月1日に実施されたイスラエル総選挙は3日開票を終了、ネタニヤフ元首相の復権が確定した。同氏は汚職で起訴され、昨年の選挙後に下野したが、極右連合と手を組むことで政権奪還を手中にした。だが、同氏は政権発足後には極右を切って中道勢力を取り込んで安定政権を樹立するハラとも伝えられるなど波乱含み。国王とも呼ばれる〝キング・ビビ〟の深謀遠慮を探った。

復権を遂げたネタニヤフ氏(AP/アフロ)

極右連合が予想外の大量得票

 同国の比例代表制による総選挙は近年、第1党が多数派を占めることはなく、少数政党の連立で辛うじて政権を発足してきたのが現実だ。今回の選挙が約3年半で5回目ということでも分かるように、連立政権は議会の定数120議席の過半数をギリギリ上回るのが通例で、崩壊を繰り返してきた。政権が脆弱かつ不安定なのが特徴だ。

 ネタニヤフ氏は右派政党「リクード」を率い、これまで通算15年の長きにわたって首相を務めてきた。しかし、昨年の選挙で「リクード」が第1党になりながらも組閣に失敗、野に下った。その背景には、自身が汚職容疑で起訴され、裁判の渦中にあったこと、ラピド首相を中心とする勢力がとにかくネタニヤフ氏を政権の座に就かせない1点で結束したことがあった。

 だが、反ネタニヤフ勢力は右派からアラブ政党まで主義主張の異なる8党の「野合」に過ぎず、パレスチナ問題などで対立し、1年足らずで崩壊した。これを読んでいたネタニヤフ氏は「宗教シオニズム」(スモトリッチ党首)と「ユダヤの力」(ベングビール党首)の極右連合に加え、宗教保守政党などと連携して選挙を戦った。

 その結果、親ネタニヤフ派は過半数を上回る64議席を獲得。内訳は「リクード」32、極右連合14、宗教政党「シャス」11、「ユダヤ・トーラー連合」7。これに対し、ラピド首相率いる中道の「イシェシュアティド」は24議席獲得と健闘したものの、左派が振るわず、親ラピド派は51議席にとどまった。

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