2024年4月26日(金)

うつ病蔓延時代への処方箋

2013年6月26日

 うつ病、抑うつ状態の人で、朝は元気という人は少ないはずです。社会にある様々な不安、仕事での悩み、過労が加われば、朝は辛いはず。その辛さを日中に引きずり、無理して働き、さらにストレスを蓄積して、また翌朝を迎える。個人差はありますが、限界に近づくまで繰り返していれば、心と身体が不調になるのは当然のことです。

 朝、起きたら腹式呼吸をして、元気スイッチを入れ、日中のストレスは腹式呼吸で掃出していけば、心の健康は必ず保てます。それは体調にも及ぼします。自律神経を活性化させ、交感神経と副交感神経のバランスをよくすることが、健康維持には何よりも大事なことです。栄養ドリンクやマッサージ、薬などに頼るよりも自分自身で内側から心身の健康を調えていくことが必要です。内側が変らなければ対処療法的なことをいくらやっても、元に戻ってしまいます。

 また、呼吸法といっても、いろいろとあります。運動選手ならば、必ず呼吸法を学ぶのではないでしょうか。ただし、これは“動の呼吸”です。これに対して心身の健康は“静の呼吸”です。奮い立たせる呼吸と落ち着かせる呼吸の違いです。ヨガの呼吸も動の呼吸になります。

横隔膜を上下させ血行を改善

 ―― ラジオ体操では最後に深呼吸をします。緊張した時に深呼吸をするといいと聞きますが、この要領で呼吸をするのでしょうか。

椎名:ラジオ体操のような深呼吸と腹式呼吸を取り入れたZEN呼吸法は違います。ラジオ体操の深呼吸の場合は、腕を上げて胸郭を広げるような形で呼吸をします。つまり胸式呼吸です。これに対して腹式呼吸は横隔膜を上下させ内臓を動かすことで、効果が出てきます。どちらも同じ呼吸であり肺に空気を入れるのですが、胸式呼吸は上半身の筋肉をたくさん使うため疲れます。

 それに対し、息を吸う時に下腹部を大きく膨らませ、吐く時におへそを背骨に近づけるように腹をへこませていく、深い腹式呼吸をすれば、肺の下にある横隔膜が上下に大きく動くので、吸う時に肺は下へ伸び、吐くと上で縮みます。人により差はありますが、肺の容量は通常約2500mlといわれ、下へ大きく伸ばすと倍近く膨らみます。逆に縮めると1500mlにまでなります。

 この動作を一定時間繰り返すだけで、内臓を活性化させ血流を良くしていく、その波及として自律神経をもレベルアップさせていくのです。そうすれば、うつ症状などの神経系だけでなく、筋骨格系、循環器系、消化器系の自律神経を活性化させ正常な状態を回復させていくことができます。ただの呼吸ですが、単なる呼吸ではありません。人間が本来持っている機能を蘇らせる、自然に近づける呼吸法です。


新着記事

»もっと見る