2024年4月29日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年2月24日

 イランの核開発問題に絡んで10年以上、イスラエルは、核科学者の暗殺や核施設へのサボタージュを続けて来ており、イラン側もその報復にイスラエル外交官の暗殺などを試みて来た。さらに、イランによるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対する財政支援のためにヒズボラ向けに原油を運搬するイランのタンカーをイスラエルが攻撃するようになると、イラン側も報復にイスラエル関係の船舶を攻撃している。

 そして、去年、イスラエルがイラン西部ケルマンシャーのドローン工場を攻撃すると、イランはその報復にモサドの拠点があるとしてイラク北部の都市アルビルを弾道ミサイルで攻撃した。また、イランは、内戦が続くシリアでアサド政権を支援し、シリア国内に民兵を展開しているが、イスラエル側は、シリア領内のイラン系民兵の拠点を繰り返し空爆している。

イランの核施設空爆を念頭に置いた演習?

 上記の記事でも書かれている通り、最近、米国とイスラエルは、防空と空中給油をテストするという、あたかもイランの核施設空爆を念頭に置いたような合同軍事演習を行った。仮にイスラエルがイランの核施設を攻撃すれば、イランがイスラエルに対して弾道ミサイル攻撃を行う可能性が高いので防空能力が重要であり、イスラエルからイランは遠いので、空中給油能力が重要となる。この事は逆に言うと、イランは遠すぎてイスラエルが単独でイランの核施設を空爆することは現状では困難なことを示唆しているように思える。

 最後に今回の攻撃目標が何だったのかという疑問がある。イラン側が主張する様な単なる弾薬庫とは思われない。この記事では最新兵器とあり、イスラエルがそれ相当のリスクを取ってまで攻撃したことから、弾道ミサイルかドローン関係の研究開発、生産施設の可能性が高いだろう。

   
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