2024年11月22日(金)

インドから見た世界のリアル

2023年3月1日

外交軽視は敗因になる

 林外相の方にも言い分があるだろう。予算なしには何もできない、というかもしれない。今、岸田文雄首相がG7までにキーウに訪問できるか、その準備に追われているのかもしれない。秘密裏にやるべき事案だから、説明できない仕事もあるのかもしれない。しかし、もしキーウ訪問などがあっても、インドは優先順位の高い国だ。犠牲にすべきではない。

 問題は、今回、国会が、林外相のG20出席の重要性に気付いていないことだ。そもそも日本の国会は、世界情勢に影響を与える国としての体制になっていない。

 国会議員は、もっと世界で講演すべきだし、そもそも「外遊」という、まるで遊びに行くような言い方で外交を軽視することは改めるべきである。外交は国内政治の延長として起きる部分はあるが、同時に世界情勢の変化は、国内を動かす。日本の防衛政策が、冷戦期と冷戦後で違うのを見れば、世界の動きが日本国内を変えているのは明らかだ。

 今、日本は「インド太平洋」「QUAD」を主張し、日本から世界を動かす時代になった。国内情勢をいい方向にもっていくためには、日本自身が世界情勢を動かす必要がある、ということを、国会はよく認識しなくてはならない。そういう体制を整えることができなければ、同じような問題を、また起こすことになる。

 一刻も早く、林外相はインドに行くべきである。

 
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