林芳正外相がインドへ訪問して主要20か国・地域(G20)外相会談と日米豪印4カ国の枠組み「QUAD(クアッド)」外相会談への出席を見送ることを決めつつある。これは非常にまずい結果につながる可能性がある。本稿では、もし林外相が欠席したら、どんなメッセージを送ることになるか、分析することにした。
世界的なニュースとなる「欠席」
まず事実関係の整理だ。何が起こったのか。
当初、林外相はG20外相会談も、QUAD外相会談も、出席するつもりであった。ところが、国会の予算審議には、副大臣ではなく外相本人が出席すべきだという意見が主に野党側から上がり、結局、日程の関係上、国会における予算審議を優先し、インドへの訪問の日程をずらすことにしたのである。
そうすると、G20外相会談への出席は絶望的で、その後に行われるQUAD外相会談へも出席できない可能性がある。また、林外相は、山崎幸二統合幕僚長と共に、インド外務省が資金を出して100カ国以上の出席者が集まる大きな国際会議であるライシナ会議でもスピーチをする予定だった。それも欠席する。筆者もライシナ会議の発表者なので、林外相の支援なく、インドで、世界の有識者を前に、日本の存在を示さなければならない。当然、筆者程度の力では外相の存在感に遠く及ばない。
しかもG20を欠席するというのは珍しいので、世界的なニュースになってしまったことが問題だ。出席しても大したニュースにはならないが、欠席したことで、大きなニュースになってしまった。何が起きているのか、世界中が注目している。