2024年2月22日(木)

バイデンのアメリカ

2023年4月7日

 1979年「イラン米国大使館人質事件」では、全米の各家庭で庭先に立てかけた星条旗ととともに、首都テヘランの米国大使館員たちの無事解放を祈る「イエローリボン」が玄関口や柱に例外なく結び付けられ、行き交うマイカーも互いにクラクションを鳴らして団結を誓い合う異様な光景が特に目に焼き付いている。

世論調査結果からも明らかに

 ではなぜ今日、愛国心が目立って低下してきたのか。

 ウォールストリート・ジャーナル紙は、今回調査結果の補足説明として、質問回答者の一人でオレゴン州ベンド市在住の塗装業者、ケブン・ウィリアムズ氏(33歳)の以下のようなコメントを載せている:

「愛国心の低下は個人主義の高揚とあいまって進んできていると思う。多くの人たちが自分の権利をより重視するようになり、並行して自分たちのコミュニティへの関与の度合いが減ってきた。米国人としての共通の価値観よりも、それぞれが持つ異なる人種的、文化的バックグラウンドに関心が集まり始めている……私自身は、2001年9・11テロの時はまだ中学生だったが、すぐにでも軍隊に入り、国を守りたいと思った。その後、海兵隊を志願し、4年間軍役に就いた。大統領選挙では2度ともトランプ氏を支持した」

 今回調査で、愛国心の受け止め方を党派別に見ると、ウィリアムズ氏に代表される共和党支持層の59%が「極めて重要」と回答したのに対し、民主党支持層の間では23% , 無党派層も29%にとどまった。

 年齢別では、65歳以上の高齢者層の間で「極めて重要」が59%だったものの、30歳以下の回答者の間では、わずかに23%と、大きなギャップが露呈した。

 同様のパターンは、愛国心と密接な関係の深い宗教に対する受け止め方でも、世代が若くなるほど、重視度が低下する傾向を示しており、65歳以上では「極めて重要」は55%だったのに対し、30歳以下では31%となっている。共和党員の間で圧倒的に多いキリスト教の教会礼拝者の減少にもつながっている。

 党派別では、共和党支持層の53%が宗教を「極めて重要」と回答したのに対し、民主党支持層では27%、無党派層38%と、ここでも伝統的に保守体質の目立つ共和党の方が、宗教とくにキリスト教プロテスタント信者が多いことを示している。

 しかし、その共和党支持層の間でさえも、前掲のギャラップ調査では、2019年時点で共和党支持層の75%が「米国人として非常に誇りに思う」と回答したのに対し、昨年調査段階では、58%にまで極端に低下したことが明らかにされた。

選挙得票数と密接に関係

 こうした一連の調査結果を受け、ワシントン政界では、24年大統領選挙における有権者投票動向との関係に注目が集まり始めている。

 とくに、政権奪還を目指す共和党の中では、悲観的見方も少なくない。

その理由として、以下のような点が指摘されている:

① 政党への関与を重視しない〝ノンポリ派〟が増加傾向にある

② 愛国心、宗教、〝スモールガバメント〟など共和党が重視してきた伝統的価値観に対する有権者の支持率が低下しつつある

③ 逆に民主党が力点を置く社会保障の充実、人種間の融合、環境保護などに対する支持率が高まっている

④ 無党派層有権者の間ではどちらかといえば、民主党支持者が増えつつある

⑤ 若年層の共和党支持率は年々低下傾向にあり、逆に「Z世代」と呼ばれる20歳代後半から10歳代後半にかけての若年層の間では、民主党支持率が75%前後にも達している


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