台湾英字紙タイペイ・タイムズの3月15日付の社説‘Uniting against Chinese aggression’が、中国の軍拡、今般の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)での国防費や治安維持予算の増額について、中国の攻撃性に対する国際的な結束が強まっている様子を描写し、台湾としては、いざという時のために戦いに備えなければならない、と述べている。要旨は次の通り。
全人代は、習近平に前例のない3期目を与え、昨年比7.2%増となる1兆5600億元(2266億ドル)の国防予算も発表した。
中国は、「平和的統一」を呼び掛けながら、過去30年間、毎年少なくとも6.6%軍事費を増額させており、これは台湾併合の準備、西太平洋での対米優位が狙いと見られている。
中国は、国防予算を増額させたのみならず、治安維持に使われる公安予算を5年ぶりの大幅増となる6.4%に引き上げた。中国の公安予算は10年間で倍増、国防予算を上回っている。
中国は、2047年までに習の「中国の夢」の基礎となる「世界水準の軍事力」を構築したいと繰り返し言ってきた。中国の野心と軍事的な自己主張は、台湾侵攻の推測や南シナ海における紛争の激化を招き、地域的および国際的平和にとり有害である。
台湾は今年度の国防予算を国内総生産(GDP)の2.4%に増額した。台湾は中国の軍事力への対抗ではなく、自衛のための非対称的な戦闘能力の開発に焦点を当てている。
中国の軍事費増大は、中国に対抗するために結束する国々を増やす結果となっている。台湾は、中国の軍拡に対する国際的な対抗力をさらに発展させ、中国による侵攻に備えなければならない。
米政府は今年の軍事予算を7730億ドルに増額、国防総省は来年については8420億ドルを要求していると伝えられる。また、米国は台湾に、タイや韓国など北大西洋条約機構(NATO)に加盟していない主要同盟国と同等の地位を与える「2023年度国防授権法」などの法案を可決している。
日本は今年の防衛予算を520億ドルに引き上げ、2027年までにGDP比2%に増額する(世界第3位の国防予算となる)ことを目指している。
英国は2隻の軍艦をアジアに恒久配備すると言い、ドイツは約20年ぶりに南シナ海に軍艦を派遣した。中国によるフィリピン海域への数々の侵犯を受け、フィリピンのマルコス・ジュニア大統領は米国のフィリピンへの軍事的アクセス強化を認めた。これらの展開は、中国による軍事的脅威に対して協力すべく、民主主義の同志国に参加する国が増えていることを示している。