2024年2月21日(水)

田部康喜のTV読本

2023年7月7日

「可憐の妻」の姿

 モデルとなった牧野富太郎博士の『牧野富太郎自叙伝』(2023年、千歳出版)によると、実際に博士の妻・寿衛子(すえこ)に対する愛情は深かった。彼女は博士を支え、13人の子どもをもうけ、55歳で亡くなる。博士は文化勲章の栄誉を受けたのち、94歳の生涯を閉じた。

 牧野博士は自叙伝の「可憐の妻」と題した項目のなかで、次のように書いている。

「私の妻は私のような働きのない主人にも愛想をつかさず、貧乏学者に嫁いできたのを因果と思ってあきらめてか、嫁に来たての若い頃から芝居も見たいともいわず、流行の帯一本欲しいといわず、女らしい要求一切を放って、陰になり陽になって絶えず自分の力となって尽くしてくれた」

 博士は発見した新種の笹に妻の名前をつけた。

「昭和三年二月二十三日、五十五歳で妻寿衛子は永眠した。病原不明の死だった。病原不明では治療のしようもなかった」「妻が重態の時、仙台から持ってきた笹に新種があったので、私はこれに『すえこざさ』と命名し、『ササ・スエコヤナ』なる学名を附して発表し、その名は永久に残ることになった。この笹は、他の笹とはかなり異なるものである。私は『すえこざさ』を妻の墓に植えてやろうと思い、庭に移植しておいたが、それが今ではよく繁茂している」

 浜辺美波はこれから、「老け役」に挑戦することになるのだろう。青春スターの成長がまた楽しみである。

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