2024年11月22日(金)

プーチンのロシア

2023年8月24日

戦況にどう影響を与えるか

 反体制メディアのメデューサは専門家の分析や23日時点で得られた現場の状況から、迎撃ミサイルで撃墜された可能性を指摘している。

 プライベートジェット機が飛行していた上空からは対空ミサイルが発出された際の「飛行機雲に似たような雲」が現場住民が撮影した画像で確認されている。また、機体の残骸の一部には、小さな穴が空いているとされ、これはターゲットの飛行機の付近で爆発して、大量の子爆弾を放って撃墜させるロシア製の地対空ミサイルの特徴があることがうかがえるという。

 筆者は14年ウクライナ東部で起きたマレーシア機撃墜事件の際に、現地で取材した経験を持つ。オランダ安全委員会主導の国際捜査チームは同機がロシア製地対空ミサイル「ブク(Buk)」により、撃墜したことを現場から回収した機体から特定した。この際も、機体には子爆弾がえぐった多数の穴が刻まれており、今回のプライベートジェット機の機体にも同様の状況があれば、迎撃ミサイルによる犯行説がより高まるだろう。

 今後、ロシア当局が捜査を進めるとみられるが、当局はどのように証拠を集め、墜落原因をどう特定するのか、そして、もし故意による仕業であれば、誰を実行犯と特定するのか注目される。もちろん捜査過程は透明性を持たず、うやむやに終わるシナリオもあるだろう。

 プリゴジン氏と仲が良く、一時期はロシア軍の特別軍事作戦の総司令官を務めていたセルゲイ・スロビキン氏の行方が定かではない。プリゴジンの乱を事前に知っていた疑いで取り調べを受けていたとされ、自宅軟禁下にあるとの未確認情報やすでに解任されたとの欧米メディアの情報もある。

 一方、コンコルドグループの幹部であるプリゴジン氏の妻はインドを休暇で訪れているとの情報が出ている。

 プリゴジン氏の死亡で今後、スロビキン氏やプリゴジン氏の妻の安否にも注目が集まることになるだろう。

 ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は23日、自らのSNSに「プーチンが6月に自ら無力化しようとした獣のような恐怖を許さないのは明らかだ」「彼が時期を待っていた」と投稿し、プーチン氏が関与した暗殺の可能性を示唆ししている。

 プリゴジン氏の死亡が戦況にどんな影響を与えるかは予断を許さない。

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