脇道に大分それて、欅坂46とまさに彗星のように登場した平手友梨奈の話に時間を割いてしまった。女優としての平手友梨奈は映画「響-HIBIKI-」(2018年、月川翔監督)で高校生の天才小説家として芥川賞と直木賞をダブル受賞する役で、日本アカデミー賞新人賞を獲得するなど数々の映画の新人賞をそうなめした。ドラマ「六本木クラス」(2022年、テレビ朝日)では知能指数160を超える天才少女が竹内涼真の飲食店網を拡大する経営企画を手がけた。
ムロツヨシと現代社会の闇と闘う
「うちの弁護士は手がかかる」においても、また〝天才〟弁護士である。18歳で司法試験に合格した天野杏役。香澄今日子(戸田恵子)が所長を務める弁護士事務所に席を置いている。
ベテラン芸能マネジャーの蔵前勉(ムロツヨシ)は30年にわたって支えてきた、大物女優の笠原梨乃(吉瀬美智子)に突然解雇をいいわたされる。杏が駅のホームに落とした書類を香澄法律事務所に届けると、所長の今日子(戸田)からパラリーガルにならないかと勧められる。相方は杏(平手)である。
今日子はベテランマネジャーだった蔵前(ムロ)が直観的に杏の相棒としてふさわしいと判断した。そして、蔵前によって杏が成長する可能性を感じたのだった。
杏(平手)と蔵前(ムロ)の相棒が毎回1話完結で取り組む事件は、現代社会が直面する課題である。冒頭に「社会派コメディ」という聞きなれない言葉を使ったのはそれによる。
テレビ局のフリーランスのアシスタントプロデューサーに対するプロデューサーによる「パワハラ」、いじめにあって7年間も引きこもっていた杏の同級生、離婚による親権問題……。
第4話(11月3日)に至って、日雇い派遣労働者の木原健太(戸塚純貴)が歩道橋で被害者の男性・後藤敦(伊藤幸太郎)を突き落として財布とスマホを奪ったという事件。財布とスマホは発見されていない。強盗殺人で起訴された木原(戸塚)は、裁判員裁判の対象となった。
香澄法律事務所長の今日子(戸田)は、「裁判員裁判は、弁護士の見栄えが大事」といって、事件を担当してきた山崎慶太(松尾諭)に加えて杏(平手)を指名する。ふたりの裁判に臨む見解は分かれた。
山崎は強盗殺人よりも量刑が軽い「傷害致死」を、杏は「強盗殺人」を認めて自首したことから減刑をも求める戦術を主張する。
天才の杏に対して、山崎は10年もかけて司法試験の合格にこぎつけた苦労人。山崎と杏そして、パラリーガルの蔵前(ムロ)が事件関係者の徹底的な聞き込みにあたる。
逮捕された木原が住むアパートを訪ねた杏と蔵前のコンビは、ギターケースをかついだ花村藍子(Leola)と出会う。藍子は木原のことを全く知らないという。
蔵前は「あの子は目が違う。才能がある」という。彼の見立ての通りで藍子はストリートミュージシャンからメジャーデビューが決まっていた。