自給率向上の道は
再エネ設備と原発への投資を取り巻く環境は厳しさを増しています。しかし、脱炭素と脱ロシアに向け主要国は自給率向上策を取るしかありません。
日本政府は、30年度に温室効果ガスを13年度比46%削減する目標を掲げました。図-7が政府の想定する30年の一次エネルギー供給を示しています。
エネルギー自給率は30%を少し超えることになります。また非炭素電源による発電量が59%を占める想定になっています(図-8)。
資機材の価格上昇は初期投資額の大きい発電設備の建設に影響を与えます。初期投資額の上昇が発電コストに与える影響を分析し、再エネ電源の発電量の想定を見直すべきでしょう。
電気料金は家庭と産業に大きな影響を与えます。30年度の温室効果ガス排出目標を達成するため、どのような非炭素電源を活用すべきか、資機材の価格上昇が落ち着いたところで再検討すべきと思います。来年に策定が予定されている第7次エネルギー基本計画では資機材の状況も考慮すべきです。
また洋上風力、太陽光発電設備などの再エネ設備の多くの重要原料、資材の供給を中国に依存しています(図-9)。真の意味の自給率向上を考える際には、強権国家への原材料の依存にも配慮することが必要です。
30年度の脱炭素目標達成、自給率向上の道はまだ遥かかなたです。
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