2024年7月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年12月6日

 10月7日のハマスのイスラエル攻撃は、サウジ・イスラエル国交正常化でパレスチナ問題が置き去りにされることを阻止しようとしたものであったと思われるが、民間人を対象としたテロ行為と言われて当然の暴挙であった。しかし、その後のイスラエルのガザ攻撃の態様は自衛権の行使として正当化される武力行使の範囲を明らかに逸脱したものであった。

 ガザ北部での治安維持の責任をイスラエルは負うとネタニヤフ首相は言っているが、これはガザ北部のイスラエル占領になる。バイデン大統領は、ガザ再占領は大きな間違いであると言っている。

ネタニヤフ政権の〝実態〟認識を

 今のネタニヤフ政権は、オスロ合意を形骸化すべきであるとする極右政権であり、この政権の退場なしにはアブドゥッラー国王の極めて常識的な提案もイスラエルの受け入れるところにはならないだろう。ネタニヤフ連立政権は、西岸の併合を主張しアラブ人に対するテロを賛美する「ユダヤの力」党と「宗教的シオニズム」党の支持を得てようやく成り立っている政権である。

 日本としては二国家解決以外にないということを粘り強く主張していくのが大切ではないかと思われる。かつ、イスラエルに国際人道法の順守を求めていくべきであろう。

 シファ病院で武器があったなどといった、イスラエルの情報戦の一環としての主張については、余りイスラエル寄りと捉えられかねないようなコメントをすべきではないだろう。大体、そうしたイスラエルの主張は事実であるのか確認できない。ネタニヤフ政権はその閣僚の一人がガザへの原爆使用も「一つの選択肢」と言ったことに見られるようにどうしようもない政権であることを念頭に置く必要がある。

「特集:中東動乱 イスラエル・ハマス衝突」の記事はこちら
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