ミャンマー情勢は10月の軍事政権に反対する少数民族の攻勢により一つの転換点に来ていることは明らかである。ワシントン・ポスト紙が社説を掲載するに値する動きがあるということである。
ミャンマーがこの転換点を超えていかなる国になっていくのか、まだ断定的なことが言える状況ではない。破綻国家になっていく可能性がある一方、ミャンマーにとって好ましい民主的で少数民族の権利も尊重した連邦制に行く可能性もある。
この社説は米国が挙国一致政府を支援し、米国がミャンマーが民主的な連邦制の方向にいくように努力すべきと論じているが、おそらく正しいのだろう。
ただ、それを米国だけで実現していくのには相当な困難があると思われ、関係国との連携が必要だろう。
日本も大胆な行動を
上記の社説は、ASEANは頼りにならないと切り捨てているが、ミャンマーにとり仲間のASEANの意向は受け入れやすい面がある。米国はそれを活用していくべきであろう。
ミャンマーが安定し、民主的で繁栄する国になり、中露のような国に牛耳られることがないように、日本としてもミャンマーとの伝統的な良い関係を活用していくことも考えられる。来日した挙国一致政府の幹部とは外務省の関係者が会談したと報じられているが、挙国一致政府との関係の在り方について強化の方向で考えればよい。
慎重さが良い場合と大胆な行動が良い場合がある。これをよく見極めるべきであろう。
ミャンマーは中印間にあり、中印両国にとっても、重要な地政学的意味を持つ国である。
ワシントン・ポスト紙が社説でミャンマー問題を取り上げたことは歓迎できることであり、米国が関心を示すことにつながるだろう。
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