2023年11月28日付のワシントン・ポスト紙が、「ミャンマーの軍事政権は負けている。米国はその崩壊に備えるべきである」との社説を掲載している。
ミャンマー軍が民主的政権をクーデタで倒し、国を内戦状態にして約3年、潮目は変わりつつある。まだ先のことであるが、世界は軍事政権崩壊後を考え始める必要がある。それは、この国の唯一の正統な民主主義的勢力、挙国一致政府と話すことである。
武装された少数民族の諸グループが軍に対して勝利を収めている。10月27日の攻撃でシャン州の村落、軍の拠点、中国との国境地点を占領することに成功した。別の少数民族も北東のサガイン、チン州とラカイン州で同じような戦果を挙げた。
しかし、戦場での動きは、亡命中の影の挙国一致政府を利してはいない。この政府はノーベル賞受賞者アウン・サン・ス―チーの党、「民主主義のための国民連盟」の収監又は亡命中の高官その他活動家から構成されている。このグループは国連でミャンマーの議席を持つが、米国を含む諸国から承認、支持を得るのに苦労している。多くの少数民族グループが今は優勢である。
これらの武装グループは人身売買、麻薬、木材、野生動物取引など不法なビジネスを行って生き残ってきた。シャンでの戦いは中国のギャングによる不法なサイバー詐欺を弾圧する中国の試みで起こった。軍事政権を倒し民主主義を回復する努力ではない。
米国はミャンマーの隣国である東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国がイニシアティヴを取ることに頼れない。ASEANはコンセンサスと互いの内政への「不干渉」への頑固な固執で動きが取れない。ASEANは一部は挙国一致政府との対話をしているが、その他の国は軍事政権と話すなど分裂している。
軍事政権は弱まっている。さらなる圧力は崩壊を早められる。もしそうなれば、各少数民族が異なる地域を支配し、中央に真空ができ、カオスになりうる。
中国は国境地帯の確保に動くだろう。中国は既にシャン州近くで軍事演習をしている。ミャンマーは破綻国家になり得、人身売買や不法薬物取引の問題を悪化させかねない。
そのような結果を避けるために、米国は挙国一致政府の代表と真剣な話を始め、それを助け、準備すべきである。この政府の高官は民主的で、連邦制のミャンマーの未来を望むと言っている。
新憲法の作成はこれらの約束を守るようになされるべきである。これがミャンマーを安定させる唯一の道である。
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