共和党でトランプに代わる選択肢はあるのか、あるとすれば、それは誰なのかが注視されて来たが、ここに来て、それはニッキー・ヘイリーだろうとの観測が広まるに至っている。大口献金者の間でもヘイリーに対する支持が広がりつつあるようであり、11月28日には富豪チャールズ・コークが支持を表明した。
トランプには支持率で大きく水を開けられており、今の段階でヘイリーの勝利が予想されている訳ではない。しかし、共和党討論会における他を圧するパフォーマンスを背景に、彼女の支持率は7月以降漸進的に上昇して来ており、トランプに代わる選択肢を求める向きに彼女には勝つチャンスがあるとの希望を持たせ、彼女に賭けることを促すことになったように見受けられる。
ヘイリーの可能性は最初の党員集会・予備選挙が予定されているアイオワ、ニューハンプシャー、サウスカロライナの成績如何に大きく依存する。ここで好成績を納められれば、勢いに乗ることが出来よう。
かつてはトランプに代わる選択肢かとみられていたデサンティスは、年初以降、支持率が継続的に低下している。すべてをアイオワに賭けて逆転を狙っているようであるが、ここで彼がトランプとヘイリーに後れをとって3位に終わることがあれば、彼の選挙戦は崩壊するとの見方が強い。
ニューハンプシャーではヘイリーはデサンティスを抜き2位につけており、予備選挙でも2位を確保しデサンティスに大きな差をつけるであろう。そうなれば、デサンティスおよび支持率が低迷するクリスティには撤退圧力がかかることになる。
正統な共和党への回帰なるか
ヘイリーは、トランプを完全に敵に回すようなことはしない。彼女は、トランプはその時に適合した大統領だったが、今や新しい世代のリーダーシップの時だといい、「自分は彼の多くの政策に同意するが、良くも悪くも彼には混乱がつきまとう」「再び混乱に身を置くにはこの国は大きく分断され世界はあまりにも多くの脅威に晒されている」と言っている。
機密文書持ち出しの件でトランプに恩赦を考慮するようなことをいったこともある。そこには、彼女の計算があってのことであろう。
いずれにせよ、共和党にトランプ以外の選択肢が見え始めたとすれば、歓迎すべきことである。他のことすべてがどうであれ、彼女はMAGAのカルトとは断絶し、司法省を使って政敵に報復する政治を拒否し、正常な姿の共和党への回帰を指向することだけは確かだと思われ、それだけでも歓迎出来る。
バイデンはトランプには勝てると思っているらしいが、彼女が対抗馬となればバイデンは劣勢を免れないであろう。