フィナンシャル・タイムズ紙コラムニストのエドワード・ルースが、11月29日付け同紙論説‘The Nikki Haley wild card for 2024’で、ニッキー・ヘイリーがトランプを制して共和党の指名を獲得するチャンスがあるとみられるに至っている状況について、その可能性は思われているほどには遠くないと論じている。要旨は次の通り。
2024年の米大統領選に向けての、この時点での最もあり得る、あるいは最も非現実的ではない攪乱者は、共和党のニッキー・ヘイリーである。
彼女は穏健派ではないが、トランプでないというだけの理由で、本選でバイデンを負かす可能性は劇的に高まる。
彼女にとっての問題は、トランプが依然として指名獲得の圧倒的な本命であることである。しかし、ヘイリーの逆転の可能性は思われている程遠くはない。資金は問題ではない。最近、富豪のチャールズ・コークのグループがヘイリー支持を表明した。
ヘイリーはアイオワでデサンティスと並んでおり、ニューハンプシャーでクリスティをリードしている。もし、両州で彼女がトランプに次いで2位となれば、彼女はその勢いを出身州であるサウスカロライナ(2月に予備選挙が行われる)に持ち込める。
その時点で、デサンティスとクリスティに対するドナーとメディアの撤退を求める圧力は切迫したものとなろう。ラマスワミの支持層は急速にしぼんでいるので、問題にならない。クリスティの票はほとんどすべて、そしてデサンティスの票の一部はヘイリーに行くであろう。
決定的な瞬間は3月初めのスーパーチューズデーである。スーパーチューズデーでトランプが勝利を決定付けることに失敗すれば、彼は大きく傷付く。その時点で、ヘイリーは彼女ならバイデンに明確な差をもって勝てることを共和党に想起させるだろう。
ヘイリーにはトランプの法廷闘争のカレンダーが味方するであろう。選挙の前にトランプが有罪になっていることは有り得る。スーパーチューズデーの前日の3月4日は議事堂襲撃事件でトランプのワシントンの裁判が始まる日である。
これにすぐに続いて、口止め料の件でニューヨークの裁判が始まる。他の2件の裁判も選挙戦中のどこかで始まる。
トランプの裁判関連の日程は立て込んでおり、大きな集会をやる時間は彼にはほとんどないであろう。資金面での圧力も高まっている。ヘイリーには恩赦と引き換えにトランプが撤退する取引を持ち掛ける余地がある。
バイデンにとってヘイリーが選挙で危険なのは、彼女の可鍛性にある。民主党はトランプを酷く怖れるとともに彼を応援もしたいという不都合な立場に置かれることになる。
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