2024年4月19日(金)

中国メディアは何を報じているか

2013年10月16日

 単学剛さんは人民網世論観測室の副秘書長だ。彼らの使うソフトウェアはより精度が高く、バックには数千のCPUがあり、外国のネット情報もモニタリングが可能である。

 河南省のある県(省レベル行政区傘下の市より1級下級の行政区。中国全土で400近くの県レベル相当の市と1500近くの県がある)のネット情報センターの閻明(仮名)主任によると、彼らはそのようなソフトは使わない。彼らの部門の担当者は出勤すると、百度のBBSや天涯、微博(マイクロブログ)等のネットで自分の県の名前を記入し、書き込みにどのようなものがあるか検索し、整理して県党委員会の幹部に提出している。

 閻さんの部門は2007年に設立され、県の党委員会宣伝部に所属している。センターには4、5人が所属し、世論検索やサイトの開設、運営をしている。上層部への報告は毎週上げる週報、毎日上げる短いメール形式の報告、毎日書面で上げるものという3種類がある。彼らの部門の人員は毎日ネット情報を自分の携帯に送り、ショートメールの形に編集して県指導者に送る。メールで伝えきれないものは書面形式で指導者に渡す。週報だと一般的に20ページあまりだ。

「世論師」はむしろ
正確に世論を導くことが必要

 ネット企業が世論処理をアピールして、書き込み削除の仕事を獲得しようとしている側面もある。しかし、9月に最高人民法院と最高人民検察院が出した司法解釈では、金を受け取って書き込みを削除するのは違法であり、ネットの書き込み削除も一種の違法行為とみなされる。削除のリスクは高まりつつあるのだ。

 新華社(国営通信社)世論観測分析センターの段賽民主任は「世論師」はむしろ正確に世論を導くことが必要と考えている。世論分析企業と中央省庁との協力関係は浅くはない。省庁傘下組織のトップが妻を連れて外国旅行に行ったことについて批判が広まっていたが、彼らの企業では詳細な処理方案、提案を出し、迅速に真相を明らかにし、彼を辞めさせ、当該省庁のイメージ悪化を防止すべきと提案した。結局、この提案にしたがって解決され、問題を収めることが出来たのである。

 閻主任もこうした方法に賛成だ。彼の担当地域でも警官が民衆を殴るという事件がおき、彼が上部に報告しようとしたときにはすでにネットで世論が沸騰し始めていた。県指導部は処理案を出し、まず警官を停職にして調査を行い、最終的にこの警官解雇を報道するとネットの炎上はすぐに収束した。


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