2024年2月26日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年1月10日

 フィナンシャル・タイムズ紙の12月19日付け社説‘The EU has a messy Orbán problem’が、ハンガリーのオルバン首相は欧州連合(EU)の500億ユーロの対ウクライナ支援を依然として妨害し続けているが、EUはオルバン首相と汚い取引をすることなく、「オルバン問題」に対処する方途を見出さねばならない、と論じている。要旨は次の通り。

EUのウクライナ支援を阻み続けるハンガリーのオルバン首相(ロイター/アフロ)

 ポーランドにおけるドナルド・トゥスクの首相就任、そしてハンガリーのオルバンの拒否権発動の脅迫を斥けてのウクライナとのEU加盟交渉開始の決定は欧州の民主主義にとって二つの朗報であった。

 しかし、オルバンはウクライナに対する500億ユーロの4年間にわたるEU支援を依然として妨害し、対露戦争を戦うウクライナの財政的能力を危険に晒している。ウクライナへの援助資金を確保し、EUが効果的な地政学上のプレーヤーであることを確保するために、EUは「オルバン問題」に対処する方途を見つけねばならない。

 EU首脳は、オルバンの行動の動機は大方カネだという認識から出発すべきである。オルバンとしては、経済を押し上げ、自分に対する支持を支えるためには、EUの資金がハンガリーに流入し続ける必要がある。

 オルバンはEUを離脱するつもりはなく、有志の諸国とともにEUを「乗っ取ろう」と欲している。しかし、ポーランドの方向転換もあり、またポピュリストの指導者や政党の進出にもかかわらず、彼がその目標から如何に遠いところにあるかが明らかになった。ウクライナに関して彼は全く孤立していた。

 しかし、オルバンは「スポイラー」としての能力を証明した。従って、EU諸国は、彼と彼の仲間の不適切な行動を制止するために、持てる道具を断固使うべきである。EU諸国はEU条約第7条を発動し、ハンガリーの投票権を停止することも可能であることを明確にすべきである。

 加盟国が民主主義や法の支配に逆行する場合、EU資金の提供を封鎖する仕組みを使うことをEU首脳はひるむべきではない。ブリュッセルの懸念は解消されたとして100億ユーロが解除されたが、ウクライナのためであるとしても、「汚い」取引で更なる資金の凍結が解除されるべきではない。それは、EUの最も信頼性のある執行力の手段を骨抜きにするであろう。

 ウクライナに対する援助資金については、EUは26カ国の政府間合意による他のルートを見出さねばならない。これは面倒な方法であるが、当面の資金の流れを維持出来る。

 EU諸国が新規加盟国を認めるに当たって必要とされる全会一致を放棄することはないであろう。従って、EU首脳としては、ウクライナの加盟に拒否権を行使しないよう、オルバンをおだてたり恥をかかせたり、あらゆる手段を講じる必要があろう。

 欧州のより広い範囲の安定のために、EUの拡大の可能性が戻って来たことは歓迎である。しかし、EUはその機能が少数派の人質に取られることを認めることは出来ない。

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