Economist誌12月23日号の解説記事‘China is backing opposing sides in Myanmar’s civil war’が、中国はミャンマーの軍事政権を支持しているが、2023年10月末の少数民族民兵によるシャン州における攻撃は、中国の安全の利益を害する詐欺グループの破壊という短期的利益のために、中国が背後で糸を引いて彼らにやらせたものだ、と解説している。要旨は次の通り。
21年、軍がクーデタで政権を奪取して以来、中国は軍事政権を支持して来たが、23年10月末に至り、中国はその利益を再考したように見える。ミャンマー北部で、中国の情報機関と関係を持つ少数民族の連合軍(Three Brotherhood Alliance)は、軍に大きな攻撃を仕掛けた。
この成功に力を得て、軍事政権に対抗する武装組織は攻撃を強化し、闘争は国の3分の2に拡散するに至った。しかし、少数民族の連合軍が、彼ら目標の一つは過去3年ミャンマー・中国国境に突如現れたオンラインの詐欺グループのネットワークを排除することだ、と発表したことが真相を物語る。
11 月までに、中国が支持する陣営を取り替えたため、軍事政権の余命いくばくもないとの憶測が生じた。軍事政権は不快感を表明すべく、彼らの支持者が反中デモを行うことを許可した。
以来、中国は軍事政権を安心させる措置を講じている。12 月 14 日には、中国は軍と少数民族民兵との間の一時的休戦を斡旋したと発表した。
中国のミャンマーに対するアプローチには中国の長期的な利益と当面の利益との間の緊張が内在する。長期的にはミャンマーに大きな経済的利害関係を有し、ミャンマーが親西側の民主主義者の方向に転換することを阻止したい。短期的には、中国は安全を心配している。
中国はミャンマーの軍の同盟者だが、ミャンマー政府はジャングルの国境地帯をコントロールできておらず、中国は2000kmの国境を越えて不安定性があふれ出ることを心配している。オンラインの詐欺産業はそうした種類の心配事である。
オンライン詐欺の問題は中国にとって外交政策のプライオリティとなったが、ミャンマー軍には詐欺産業を破壊する能力はなく、かつ詐欺グループにカネで買われていたとみられ、何もしなかった。そこで、中国は少数民族を頼ることになったとみられる。
中国は、軍事政権に再び擦り寄っている。軍事政権は依然としてミャンマーの空港、銀行、ネピドーを含む大都市のほとんどを支配している。西側の制裁にもかかわらず、軍事政権はジェット機を中国とロシアから買い、彼らの敵が支配する地域で民間人に対して無差別爆撃を行っている。中国は大体において軍事政権を支持しているが、時には彼らの敵を支持するであろう。
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