2024年5月20日(月)

プーチンのロシア

2024年1月17日

プーチンと仲良くしたい国は?

 3点目のデータは、10月7日のプーチン氏の誕生日にどの国が祝福のメッセージを送ってくるのかの比較だ。

 クレムリンは毎年、この日に寄せられた各国リーダーからの祝電や電話会談などを行ったリストを公開している。プーチン氏の1年の最も大きな記念日に、個人的なメッセージを送る間柄は、特別な関係といって良いだろう。ロシア側も祝意を伝えた人物や国家には、最大限の便宜やもてなしを図っていることが想定され、貿易取り引きや政治的結びつきも深いことがうかがえる。

プーチン氏誕生日の2023年10月7日のクレムリン公式声明。祝賀メッセージを送った各国首脳のリストが掲載されている

 プーチン氏と「相思相愛」ともいえる状況に、ウクライナ侵攻後、誕生日祝福メッセージを寄せているのはどの人物なのか?

 プーチン氏が70歳となった22年10月7日に、モスクワへ祝意を伝えたのは以下の国のリーダーやVIPたちだ。

【CIS】
カザフスタン前大統領のヌルスルタン・ナザルバエフ氏▼キルギスのサディル・ジャパロフ大統領
【中南米】
キューバのミゲル・ディアスカネル・ベルムデス大統領
【アフリカ】
南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領
【中東】
トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領

 さらにこの日にはロシア第2の都市、サンクトペテルブルクでCIS非公式首脳会合が開かれており、アゼルバイジャン、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタンの計7カ国のリーダーたちが、プーチン氏に直接、祝意を伝えている。

 さらに、翌23年10月7日にモスクワへメッセージを寄せたのは以下のリーダーやVIPたち。

【CIS】
アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領▼アルメニアのニコル・パシニャン首相▼ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領▼カザフスタン前大統領のヌルスルタン・ナザルバエフ氏▼キルギスのサディル・ジャパロフ大統領▼タジキスタンのエマモリ・ラフモン大統領▼トルクメニスタンのセルダル・ベルドイムハメドフ大統領
【中南米】
キューバのミゲル・ディアスカネル・ベルムデス大統領

 この日、モスクワ近郊ではロシア、カザフスタン、ウズベキスタンの「3カ国ガス同盟」の供給開始を祝う式典が開かれており、出席したカザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領とウズベキスタンのシャフカト・ミルジョエフ大統領がプーチン氏に対して「個人的に祝意を表した」とクレムリンの公式サイトは伝えている。

 プーチン氏誕生日メッセ―ジだけの軸を見れば、カザフスタンのトカエフ大統領は2年連続で10月7日にモスクワを訪れているし、プーチン氏と関係が深いナザルバエフ前大統領もこの日に電話をしている。カザフスタンは表向き、CIS諸国の中でも最もプーチン氏への親密度を示している、と言える。

 またCIS諸国以外では、キューバがウクライナ侵攻前の21年には祝意を伝えなかったのに対し、22年、23年と2年連続で祝意を伝えており、キューバ側にもロシア接近を促す背景があるのではないかとうかがえる。

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