2024年4月26日(金)

Wedge REPORT

2013年10月21日

 ただ、これでも支出財源規模には限界がある。それを超える必要があると認められる時には国債で賄うしかない。その場合には、返済財源をどこに求めるかがやはり焦点となる。電促税以外に、受益者負担原則の観点からはもう一つある。電促税を乗せる元の電気料金そのものの収益金から特別会計に繰り入れるという手法だ。こういうスキームは滅多にないが、臨時措置としては十分にあり得る。電力各社の財務状況は、原発の“塩漬け状態”が続いているため逼迫しているが、原発運営を正常化させ、稼働率を欧米並みに引き上げれば、大規模な財源捻出も容易に可能である。

 電気料金収入を充てる場合には、現在の電力各社の状況を見れば、原発運営を適正化することによる原発収益の改善が大前提となる。私はダイヤモンド・オンラインで、柏崎刈羽原発の稼働率を欧米並みの水準にすることで、最大で年間約1兆円の利益が上がるとの試算を発表した。これは私の試算なので、政府や東電におかれては、同様の試算をし、提示されたい。

 そのためにも、拙速な安全対策ではいけない。新規制基準に適合させる工事を入念に行うためにも、安全対策に関する工事・審査と原子炉の稼働を同時並行させること(オンラインメンテナンス)が、安全と経済の両立を達成する最も合理的な手法となる。定期検査のたびにいちいち原子炉を1カ月停止させる方法は世界の非常識であり、安全性が向上しているわけではない。オンラインメンテナンスによる稼働率向上や検査のための停止周期(現行は13カ月ごとの停止)の延長は政府の運用改善でできることなのだ。早急な実行が待たれる。

◆WEDGE2013年11月号より










 

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