2024年7月15日(月)

お花畑の農業論にモノ申す

2024年1月31日

実はタイは「農業大国」

 タイは、農産物輸出大国として知られている。たとえばコメの輸出量は、1位のインド、2位のベトナムに次いで、世界第3位である(農水省ホームページ)。

 タイの農産物の強みは「価格」だ。労働者の最低賃金は1日1500円ほどと、円安の影響があっても日本よりかなり安価である。外務省によると、タイは日本の約1.4倍の国土を誇るにもかかわらず、人口は6609万人と日本よりも少ない。広大な大地で、安価な労働力による農産物の生産ができるのだ。

 つまり、タイは輸出する品目によるものの、輸出ターゲットとしてはシンガポールのように農産物をほぼ生産していない国に比べ、難易度ややり方も大きく異なることがすぐわかる。しかし、人口が集中するバンコクは急速な発展を遂げて、所得が上がっており、日本農産物の輸出ターゲットとなりつつある。

創意工夫が進められるジャポニカ米の産地

 タイ北部の主要都市であるチェンライ県では、日本米の栽培が盛んと言われている。筆者が10年ほど前に訪問した際、チェンライとチェンマイの中間に位置するカンキツ園の隣の圃場でも日本産米が栽培されていた。

チェンライとチェンマイの中間の地域で見かけた日本米栽培圃場

 2017年時点で、タイ北部の各県において、品種は「ササニシキ」と「あきたこまち」が約1万2800ヘクタール(ha)で生産されているとされていたが、近年ベトナムから低価格のジャポニカ米が輸入されるようになり、ジャポニカ米の生産を中止する農家が相次いでいるようである(農水省報告書)。

 タイ・チェンライ県の稲作農家2人に会うことができた。一人は、30歳台と農業を始めて10年ほどの若手だが、国内有数のチェンマイ大学を卒業した高学歴の持ち主である。もう一人は広い面積での日本米の栽培を進めているという。二人とも地元市場向けの生産だ。

タイ・チェンライ県の米農家

 タイ・チェンライ県での稲作経営はタイ農業協同省元職員への聞き取り調査によると、以下の通りである。日本のコメ農家の平均作付面積は1haと言われている(「2015 年 世界農林業センサス」)が、タイ・チェンライ県は2期作なので、作付面積は北海道以外の日本の平均的な農家よりやや大きいようである。

・経営規模:3~20ライ(48アール(a)~3.2ha)
・米の品種:Kwo. Wo. Kwo .no. 1とKwo. Wo. Kwo .no .2(ササニシキやあきたこまちやから選抜したもの)
・栽培期間:7月~10月と1月~4月の年2回栽培

 日本農業サポート研究所の試算によると、タイ産日本米は日本で栽培されている米に比べ、10a当たり収入は6分の1程度であるにもかかわらず、コストは4分の1と収入に比べ高い。そのため、収支は10分の1と低くなっている。収益性に課題があるため、生産者は工夫を凝らす。


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