2024年12月3日(火)

バイデンのアメリカ

2024年2月20日

 「ホワイトハウス返り咲きは米国、世界経済の災厄に」――。米財界では、もしトランプ共和候補が11月のバイデン大統領との本選で勝利を収めた場合、最近好調に推移しつつある景気が腰折れになるだけでなく、世界経済の混乱要因になるとして警戒を強めている。

再選されたトランプはどのような経済政策を打つのか。米財界は戦々恐々としている(AP/アフロ)

米経済は好調の兆しだが……

 「バンカー・メンタリティ(bunker mentality)」という表現がある。強固な塹壕にこもり、敵意を抱く相手に対し極度の猜疑心と警戒心にとりつかれた状態をさす。まさに11月大統領選挙を前に、トランプ候補の返り咲き、すなわち「トランプII」に備えた米財界人たちの最近の偽らざる心境を表すのにピッタリの表現かもしれない。

 このところ、米国経済と景気見通しについて、米ウォール街には明るいムードが広がりつつある。

 呼び水となったのが、先月19日に米ミシガン大学が発表した最新の「消費者信頼感指数(the index of consumer sentiment)」だ。この指数は、米国消費者が直近の景気を肌でどう受け止めているかを示す最も信頼できるデータとして知られ、選挙年には有権者の投票動向を大きく左右するともいわれている。

 それによると、速報値は予想を上回る78.8%となり2023年12月の69.7%からさらに上昇、21年7月以来の高水準を記録した。過去2カ月では29%改善したことになり、まる13年ぶりの上昇幅となった。

 調査に当たったジョアン・スー部長は「年齢、所得、教育レベル、地域差、党派を問わずあらゆる層をまたいで消費者が景気を実感しつつある」と解説している。

 ニューヨーク・ウォール街では早速、この発表を受け同日の「S.&P.500」平均株価も史上最高値を記録。最近の雇用増とインフレ率低下に対する投資家心理の好感を反映したものとなった。

 ホワイトハウスのジャレッド・バーンスタイン経済諮問会議議長も「われわれがまだやるべきことは多々あるが、バイデン政権の経済政策が正しい道を進んでおり、国民もそれを感じ始めている」と、これを歓迎する声明を発表した。


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