「ディール・脅し・圧力」
さらに、日本と「確トラ」の関係についてもみていこう。日本製鉄の米大手鉄鋼メーカーUSスチール買収に対して、トランプ前大統領は「とんでもない話だ」と述べ、強く反対した。演説の中で、支持者に対して、歴史のある米国を代表する鉄鋼メーカーが、日本に買収されるというメッセージを送り「愛国心」に訴えている。
USスチールの本社は、20年米大統領選挙の勝敗を決定づけた東部ペンシルベニア州ピッツバーグにある。同州の労働者票を狙うトランプ前大統領は、日米関係や同盟よりも「票」を重視していると見られても当然だ。
日本政府には1期目のトランプ政権から学んだ、いわゆる「トリセツ」があるという見方をする元外交官がいる。1期目のトランプ政権において、日本はトランプ前大統領から「米国製戦闘機の購入」「米国内への自動車工場の建設」および「在日米軍の駐留経費の大幅増額」などを要求された。
もしトランプ登場になった場合、日本はトランプ前大統領を怒らせないことに気を使い、彼の要求を呑むのか。仮に「トリセツ」に「トランプ大統領を怒らせないこと」という記述があれば、即座に削除すべきだ。日本製品に対する高関税のカードをちらつかせて脅し、追加関税をかけないことを条件に要求を呑ませる。実にアンフェアな取引であると言わざるを得ない。
日本にはトランプ前大統領の「ディール・脅し・圧力」に屈しない政治家が果たして存在するのか。トランプ前大統領に対して「ディール対ディール」ができる政治家はいるのか。
バイデン大統領はトランプ前大統領を怖がらない。同様に、バイデン大統領はプーチン大統領も怖がらない。