2024年11月22日(金)

田部康喜のTV読本

2024年3月16日

 別れ際に菓子に陸は「菓子はこれからどうするの」と後ろ姿に聞かれる。

 「さあね。もしかしたら次に付き合う人とかと、普通に結婚するかもね」

 陸はいう。「無理だよ」とおだやかな声で言った。

 夫の浩介との別れ話があったあと、菓子(夏帆)は陸(鈴木大地)をカフェに呼び出す。陸の指には結婚指輪があった。

なぜ、彼女たちはその道へと行ったのか

 第2週「冬の終り」(11日~14日)は、家事と保育園児の子どもの世話にあけくれながら、スーパーのフードコートで働く藤田朋己(麻生久美子)がヒロイン。職場の無口な同僚・仙川真帆(篠原ゆき子)がスーパーに流れるタイトルの曲が流れたとき、話がとめどなくなったことから、有線放送にリクエストを続ける。

 藤田と仙川が働くフードコートのコーナー「コンタちゃん」は、ラーメンやお好み焼きなど、注文を受けてから作るのが売りだが、他のコーナーに比べて人気はいまひとつである。

 店内放送でタイトルの曲が流れた瞬間に藤田は話しだす。「この曲いいですよね。内田有紀と一色紗英が出ていた学園ドラマのエンディングなんです」「カラオケではこの曲を必ず歌うんです」。業務以外で、仙川が藤田に話しかけたのはこの件だけだった。

 藤田(麻生)は勤務時間の合間をぬっては、有線放送にこの曲のリクエストをしまくる。声だけの出演だが、リクエストを受け付けるのが黒木華である。「いつかかるのか」を尋ねる藤田に黒木が「お約束できないんですよ」と答えるのがユーモアにあふれている。

 いったい、同僚の仙川の人生に何があったのか。職場の正社員の話からウエブデザインの会社に勤めていたが、親の介護のために地元に戻ってきたというのだが…。

 原作では、彼女の哀しい物語がこの曲に分かちがたく結びついている。

 第3話「春よ、来い」(18日~21日)は、ヒロインのカナコ(宮﨑あおい)のほか、池松壮亮、小野花梨、岡山天音、田中哲司……という短編ドラマとしては個性豊かな俳優陣である。原作は、登場人物たちの物語がユーミンの同名の曲で救われる。そこに至る道は複雑に絡み合って、サスペンスを思わせる。


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